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愛川町半原の中津川沿い、馬渡橋の近くで蕎麦を生かした団子を作る甘味処がマゴベヱ団子 馬渡屋です。看板のマゴベヱ団子は、一般的な米の団子とは少し違い、そばがきを思わせる仕立てが大きな特徴です。そば粉に米粉ともち米を合わせ、そば湯で練ることで、やわらかくもちもちとした食感に仕上げています。店主の吉野豪晃さんは平日に横浜でそば店を営むそば職人で、2021年から愛川町の「あいかわ準農家制度」を利用してそばの栽培を始めました。この制度は、生きがいや自給自足を目的とする人も一定の条件を満たせば町内の農地を借りられる仕組みで、遊休農地を生かす取り組みとして続いています。吉野さんが団子店を始めた背景には、自然や文化に恵まれた愛川町へ足を運ぶきっかけになる名物を作りたいという思いも込められています。
団子の姿にも半原らしい物語が隠れています。愛川町半原は江戸時代から撚糸や織物が盛んだった地域で、約200年にわたり「糸の町」として歩んできました。中津川の流れを利用した水車が撚糸業を支え、現在も愛川繊維会館には八丁式撚糸機などが残されています。マゴベヱ団子は、そんな土地の歴史を思わせる繭形に整えられているのが印象的です。和菓子そのものを半原の小さな観光案内役にしたような発想で、味だけではなく土地の背景まで一緒に楽しめます。
基本の餡として親しまれているのがつぶあん、絹あん、塩こしあんです。なかでも塩こしあんと、3種類の餡を組み合わせた作品は、2024年に結果が発表された第31回神奈川県菓子コンクールの一般名菓の部で奨励賞を受けました。同コンクールは味や意匠、技術などを審査する県内菓子のコンクールで、2年に1度開かれています。そばの香ばしさを残した生地に、小豆の風味や塩気の効いた餡を重ねるため、いわゆる串団子とは異なる食べ心地を楽しめます。
季節ごとに変わる創作餡も、この店を訪れる楽しみのひとつです。時期によってさつまいもあん、くるみ味噌、黒胡麻あん、かぼちゃあん、栗あんなどが登場し、果物や洋菓子の素材を合わせる品も作られています。百貨店の催事では、蕎麦団子のつぶあんにカスタードを合わせて表面を炙ったつぶあんブリュレも披露され、和菓子を軸にしながら洋菓子の技法を取り込む自由な作り方が見えてきます。団子と合わせる飲み物には、茶葉を萎れさせて香りを引き出す萎凋茶や、半原の養蚕文化を思わせる蚕沙を生かしたさんさ茶なども扱われています。
店内は昔の暮らしを思わせる落ち着いた造りで、大きな窓越しに中津川を眺めながら甘味を楽しめます。営業は週末が中心で、時期によって営業日が変わるため、訪問前には公式Instagramで最新情報を確認しておくと安心です。団子を食べるだけではなく、そば作り、撚糸、養蚕、中津川という愛川町の風土をひと続きに感じられることが、マゴベヱ団子 馬渡屋ならではの魅力です。
| 住所 | 神奈川県愛甲郡愛川町半原2 |
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