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神奈川県横浜市のJR東神奈川駅にある日栄軒は、駅のホームで100年以上にわたり営業を続けてきた立ち食いそば店です。京浜東北線と横浜線が発着する3・4番線ホームの階段下に店を構え、通勤途中の人や乗り換え客に親しまれてきました。創業は1918年(大正7年)。横浜線の前身である横浜鉄道が国有化された翌年に営業を始めた、駅そばの歴史を語るうえでも貴重な一軒です。ホームに面した小さな店内には立ち食い用のカウンターが設けられ、列車の発着を身近に感じながら、昔ながらのそばを味わえます。
日栄軒が長く大切にしてきたのが、自家製のそばつゆです。宗田鰹と鯖からとる出汁に、砂糖と醤油を煮詰めて1日寝かせた「かえし」やみりんなどを合わせ、関東風のしっかりとした味に仕上げています。出汁に使う節類は鰹節の専門店に独自の配合で用意してもらうというこだわりも。醤油の色が濃いつゆからは魚介の豊かな香りが立ち、そばにも天ぷらにもよくなじみます。長年受け継がれてきた味は、日栄軒の大きな魅力です。
看板メニューは、器からはみ出すほど大きな穴子の天ぷらをのせた穴子天そばです。そばを覆うように横たわる穴子天は、見た目にも迫力十分。わかめと刻みねぎが添えられ、天ぷらに散らした柚子が香りのアクセントになっています。穴子天は、横浜の立ち食いそば店などに天ぷらを卸している天ぷらいわたが手がけたもの。日栄軒向けの品として作られています。初めはつゆに浸かっていない部分の衣を楽しみ、少しずつつゆを吸わせると、味わいと食感の変化も感じられます。100年以上続く店の歴史のなかでは比較的新しく加わったメニューながら、今では日栄軒を代表する一杯として知られています。
ほかにも、素朴なかけそばをはじめ、天ぷらそば、月見そば、山菜そばなどがそろいます。山菜そばにはワラビやゼンマイ、ナメコなどが使われ、出汁の風味とともに具材の味を楽しめます。そばだけでなく、うどんを選べるのもうれしいところです。店頭の券売機で食券を購入して注文する方式で、忙しい乗り換えの合間にも立ち寄りやすい店です。
日栄軒があるのは東神奈川駅の改札内です。駅の外から訪れる場合は改札内へ入るための手続きが必要で、日曜日は定休日となっています。時代とともに駅の風景が変わるなか、ホームの片隅で一杯のそばを味わう時間には、長く続いてきた鉄道と街の暮らしが感じられます。東神奈川を通る際に、少し足を止めて訪ねたい一軒です。
| 住所 | 神奈川県横浜市神奈川区西神奈川1丁目6-15-606 東神奈川駅上りホーム |
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