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向井潤吉アトリエ館は、昭和から平成にかけて活躍された洋画家、向井潤吉先生の旧居兼アトリエを美術館として改修し、一般公開している場所です。先生が「区民の憩いの場にしたい」という願いを込めて、自作の油彩画やデッサンなど約660点の作品とともに世田谷区へ寄贈され、1993年7月に世田谷美術館の分館として開館いたしました。向井潤吉先生は1901年に京都で生まれ、1933年(昭和8年)に東京の世田谷区弦巻のこの地に居を構えて以来、亡くなられるまで約60年もの間、創作活動の拠点とされました。現在の建物は、戦後の火災を経て1962年(昭和37年)に再建されたもので、先生が生涯を通じて大切にされた風景への思いが息づく空間となっています。
この建物の設計を手がけられたのは、建築家の佐藤秀三氏です。佐藤秀三氏は、向井潤吉先生と生前親交が深く、その建物は「近代数寄屋建築」の流れを汲む昭和中期の瀟洒な和風建築として知られています。特に、木造大屋根が特徴的で、「佐藤秀調」とも呼ばれる独自の建築様式が感じられる貴重な作品と言えるでしょう。館内では、先生が実際に生活し、絵筆をとられた当時の息づかいを肌で感じながら作品を鑑賞できます。建物の隅々まで、芸術家の美意識と生活観が深く浸透しており、絵画作品だけでなく、建築作品としても大きな魅力があります。
向井潤吉先生は、生涯を通じて日本全国を旅し、失われゆく茅葺き屋根の古民家を追い求め、描き続けたことから「民家の向井」として親しまれました。その作品は、激しい時代の変化の中で消えていく日本の原風景への鎮魂歌のようでもあり、見る人の心に静かに語りかけてきます。先生が戦後の40年以上にわたって描き続けたテーマは、当時の社会情勢や高度経済成長の中で、急速に姿を消していった日本の美しい古民家の風景を記録し、後世に残したいという強い思いから生まれたものです。アトリエ館の展示室は、その多くが先生の作品で構成され、年に2回の展示替えを行いながら、その芸術の足跡をたどることができます。
敷地内の見どころとして、1969年(昭和44年)に岩手県一関から移築された蔵造りの土蔵があり、こちらも一部が展示室として利用されています。土蔵の重厚な佇まいは、先生が描かれた民家の絵画の世界と響き合っているようです。また、アトリエ館を囲むように広がる庭も、大きな魅力の一つです。かつて水田や沼地を見渡す高台で武蔵野の自然を残していたこの弦巻の地も、戦後は宅地化が進みましたが、このアトリエ館の庭にはクヌギやコナラ、ケヤキなどの雑木が残り、都心では貴重になった緑豊かな自然の面影を今に伝えています。庭の木々が四季折々に変化する姿は、先生が愛した日本の風景そのものであり、作品と合わせてじっくりと鑑賞できます。開館当初、先生がこの場所を「憩いの場」として区民に公開したいと願われたように、訪れる人々に静かで穏やかな時間を与えてくれるでしょう。
| 住所 | 東京都世田谷区弦巻2丁目5−1 |
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| 電話 | 03-5450-9581 |
www.mukaijunkichi-annex.jp…