【ハワイ】カフク「Kahuku Farms（カフク・ファーム）」

オアフ島のノースショア、カメハメハ・ハイウェイ沿いの自然豊かな場所に佇むKahuku Farms（カフク・ファームズ）は、ハワイの農業の歴史と未来を感じられる、心温まる農場カフェと体験の場所です。こちらは、日本のサトウキビ農園で働いていた松田家と福山家という2つの日系移民家族をルーツに持ちます。1900年代初頭にハワイへ移り住んだ両家の祖父母は、1940年代頃にはカフクの地でピーマン、パパイヤ、スイカ、バナナといった様々な作物を育てる独立した農場を始めました。その後、二代目の息子たちが友人となり、お互いに協力し合う形で野菜や果物の卸売事業を本格化させ、1986年に「Kahuku Brand」を立ち上げました。そして、四代目となる若い世代が、自分たちの農業への愛と島の豊かな実りを広く皆さんと分かち合いたいという願いから、2010年にアグリツーリズムの拠点として「Kahuku Farms」を開設したのです。以来、この地は単なる農場としてだけではなく、新鮮な食事を楽しみ、農業を身近に感じる学びの場として愛されています。

この農場の一番の大きな特徴は、食育とフードロス削減への真摯な取り組みです。通常、市場に出すには形や見た目が不揃いで弾かれてしまう規格外のバナナなどの作物を、廃棄することなくスムージーや料理に活かすため、カフェの営業を始めたという心温まるエピソードがあります。また、「Grand Wagon Tour（グランド・ワゴン・ツアー）」などのガイド付きツアーでは、トラクターに牽引されたワゴンに乗って広大な農場を巡り、パパイヤ、リンゴバナナ、カカオといった作物が育つ様子を間近で見学できます。ハワイの農業の仕組みや、食事が食卓に届くまでのプロセスを学ぶことができ、特に子どもたちや、食べ物の背景を知りたい方にとって、忘れられない体験になるでしょう。

Kahuku Farmsのカフェは、農場で採れたての新鮮な素材を活かしたメニューが自慢です。お肉を使わないメニューが中心ですが、その新鮮な野菜の美味しさから、多くの方に支持されています。たとえば、農場産のナス、ピーマン、ズッキーニなどのグリル野菜、自家製ペスト、水耕栽培のレタス、フレッシュモッツァレラチーズをフォカッチャで挟んだ「Roasted Veggie Panini（ロースト野菜パニーニ）」は、素材の味をしっかりと感じられる人気のメニューです。同じく農場野菜を使った「Farm Pizza（ファーム・ピザ）」は、薄いクリスピーなクラストと採れたての野菜の相性が抜群です。

そして、ぜひお試しいただきたいのが、ハワイではここでしか栽培されていない、農場産の新鮮なアサイーベリーを贅沢に使った「Farm Grown Acai Bowl（ファーム・グロウン・アサイーボウル）」です。一般的にハワイで提供されるアサイーボウルは冷凍の輸入パルプが使われますが、ここでは文字通りファームで育ったアサイーが使われます。この特別なボウルには、自家製ココナッツソース（ハウピア）、アップルバナナスライス、マカダミアナッツのクランブル、そして農場産リリコイを使った「Lilikoʻi Butter（リリコイバター）」がたっぷりとかけられ、爽やかで豊かな風味が口いっぱいに広がります。また、農場で収穫されたカカオから作られる「Hot Fudge Sauce（ホットファッジソース）」を添えた「Grilled Banana Bread（グリルド・バナナブレッド）」も、温かいバナナブレッドと濃厚なソースが絡み合う至福のデザートとして隠れた人気を呼んでいます。このように、地元の食材への深い愛情と、食を通じて家族や地域と繋がるという「アロハ」の精神を大切にしているKahuku Farmsは、ノースショアを訪れる際に立ち寄りたい、特別な場所なのです。