多摩川浅間神社
多摩川の流れを見下ろす高台に鎮座する、八百年近い歴史を持つ多摩川浅間神社は、対岸の川崎エリアからもほど近い場所にある、静かで清々しい空気に包まれた神社です。創建は鎌倉時代の文治年間、1185年から1190年頃と伝えられており、源頼朝公の妻である北条政子公の信仰に深く関わる由緒を持っています。夫の頼朝公が戦に出陣した際、政子公はこの地にある亀甲山から霊峰富士を仰ぎ、夫の武運長久を祈願されました。その時、ご自身が身につけていた「正観世音像」をこの地に祀ったことが神社の始まりとされています。村人たちはこれを「富士浅間大菩薩」と呼んで、長く尊崇しました。この歴史ある神社は現在、東京都大田区田園調布にございますが、多摩川を挟んだ川崎の街並みを眺める絶好のスポットでもあります。
ご祭神は、日本神話に登場する大変美しい女神様である木花咲耶姫命(コノハナサクヤヒメノミコト)です。その名は「桜の花が咲き匂うような」と形容されるほどの美しさで知られています。木花咲耶姫命は、ご懐妊の際、貞節を疑われたことから、自ら入口を塞いだ無戸室(うつむろ)に入り、火を放った炎の中で三柱の皇子を無事ご出産されたという神話が残されています。この勇ましくも母なる強さを示す故事から、安産や子育て、そして家庭円満の神様として、特に女性からの厚い信仰を集めています。社殿は1973年(昭和48年)に完成した、都内では唯一の「浅間造」という優美な建築様式で、緑の屋根が二重に重なるように見える壮麗な姿は、神社のシンボルとして見る人の心を惹きつけます。
参拝の際には、まず鳥居をくぐったところにある「大祓詞石車」を一周回すことから始めてみてください。これは、穢れを祓うための祝詞(のりと)が書かれた石車で、身を清めてから神聖な境内へと進めるという心遣いが感じられます。社殿へと続く参道は、実は古墳の上に築かれており、この参道には富士山の溶岩が両脇に配されています。まるで富士塚を登るような、清らかな富士山信仰の道筋を辿りながら、神様に近づくことができるのです。境内には、子授けや子育ての願いを込めて優しく両手で撫でる「子産石」があり、木花咲耶姫命のご神徳にあやかりたいと願う多くの方が訪れます。
また、参拝後にはぜひ見晴らしの良い高台にある「見晴台」へお立ち寄りください。ここからは多摩川の流れや、対岸の川崎市武蔵小杉のモダンなタワーマンション群までが一望でき、その美しいパノラマはデートスポットとしても大変人気があります。境内には他にも、水は飲めませんが富士山の溶岩から水が流れ出る様子を模した「白糸の滝」や、幕末の快男児として知られる勝海舟が直筆の文字を彫らせた「食行身録之碑」など、多くの見どころが点在しています。ご家族連れには、お子様が楽しく背比べができる「たけくらべ」の石碑も人気で、富士山をイメージした石碑の上部と背丈を比べて記念撮影をする微笑ましい光景が見られます。長い歴史と美しい景観、そして女性の願いに寄り添うご利益に満ちた多摩川浅間神社は、心が洗われるような特別な参拝体験をさせてくれる場所です。
| 住所 | 東京都大田区田園調布1丁目55−12 |
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| 電話 | 03-3721-4050 |
ホームページ
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