多摩川駅「大黒堂」
多摩川の自然あふれる風景が広がる多摩川駅の改札を出てすぐの場所にある大黒堂は、昭和4年(1929年)に創業した地域で長く愛される和菓子のお店です。お店の目の前を流れる多摩川でかつて鮎がたくさん獲れたことにちなんで、初代の店主が鮎の姿を模したお菓子を考案したのが始まりです。地域の方々はもちろん、多摩川散策の途中に立ち寄る方も多く、名物の鮎やきを店頭で一つひとつ手焼きする様子が、道行く人の目を楽しませています。2020年11月には新装オープンしましたが、長年親しまれてきた手焼きの焼き場が外から見えるつくりは変わらず、伝統の味を守りながらも新しい装いで皆様を迎えています。
このお店ならではの大きな特徴は、名物の鮎やきに込められた、この多摩川の土地との深いつながりです。多摩川を遡上する鮎の姿になぞらえたその形は、長年使い続けられた伝統の焼き型で丁寧に焼き上げられています。そして、こちらの大黒堂は、多摩川の地を離れた場所でも、その味と技が親しまれていることでも知られています。昭和50年代からは、多くのお客様が集まる歌舞伎座のお土産処でも、鮎やきの実演販売を行っており、観劇の幕間のおやつやお土産として、店舗と同じく長きにわたって愛されています。現在も、二代目と三代目となるご主人が、職人さんとともに店頭で手焼きを行うなど、親子三代にわたって伝統の味と技を今に伝えているのが魅力です。
看板商品の鮎やきは、大黒堂の和菓子職人が作る自家製のこし餡が頭から尻尾までぎっしりと詰まっているのが特徴です。卵をふんだんに使ったカステラ生地はサクッとした歯ざわりで、甘さを控えたこし餡はホクホクとした食感を楽しめます。焼きたては特に香ばしく、温かいおやつとして、散策のお供にぴったりです。この鮎やきは、地域の特産品としても認められており、「大田のお土産100選」の奨励賞を受賞しています。
また、鮎やきの他にも、大黒堂には旅の思い出やお土産におすすめの様々なお菓子が揃っています。縁起の良い六福神の形をした人形焼は、愛らしい姿と優しい味わいで、多くの方に喜ばれています。卵の風味が豊かな香ばしい歌舞伎狂言煎餅も、長年愛されてきた定番のお菓子の一つです。そして、歌舞伎座での販売を通じて親しまれるようになった観劇饅頭は、たっぷりの餡が特徴的な伝統のお菓子で、どのお菓子も創業当時から変わらない素朴で懐かしい味わいを楽しんでいただけます。多摩川の風を感じながら、歴史ある和菓子を味わうひとときを、心ゆくまでお楽しみください。846字。
- 鮎やき(1尾) 160円
| 住所 | 東京都大田区田園調布1-55-5 |
|---|---|
| 電話 | 03-3721-2789 |
ホームページ
昭和四年創業、田園調布の和菓子店。鮎やき、人形焼、歌舞伎狂言煎餅、観劇饅頭等の販売。…
