鶯谷駅の近く、都内でも最大級の公衆浴場として知られる銭湯「ひだまりの泉 萩の湯」の敷地内、玄関脇にひっそりと現れる屋台の天つゆおでん屋台 泥亀は、地元の方はもちろん、銭湯の常連客にも長年愛される立ち飲みのお店です。このお店は、かつて台東区稲荷町の「寿湯」の向かいで営業されていましたが、2022年7月20日に現在の鶯谷へと移転し、今では「風呂上がりに欠かせない」と評判の場所になりました。店主の原田貴秀さんは、飲食に携わること30年以上のベテランで、その経験から培われた確かな味を提供し続けています。

この泥亀の大きな魅力は、東京では非常に珍しい屋台のスタイルを今に伝えている点にあります。コロナ禍で通常の店舗営業が難しくなる中、商品を高い位置から渡すキッチンカーではなく、お客さまとの距離が近い屋台形式を選ばれたのは、原田店主の「対面で人と交流したい」という強い思いがあったからだそうです。屋台は昔ながらのリヤカー形をしており、その引手部分に板を渡した急ごしらえのカウンターでいただくおでんは、昭和の時代にタイムスリップしたようなノスタルジックな雰囲気をまとっています。銭湯の利用者、特に親子連れの方も多く訪れる立地柄、幅広い年齢層が集まる温かい交流の場となっており、店主のお客さまへの心遣いが感じられます。営業は天候の良い日のみで、確実に訪れるためにはお店のSNSで開店状況を確認されることをおすすめします。

お店の看板メニューとして、来店した多くの方が注文されるのが、新感覚のクロワッサンおでんです。別添えで提供されるサクサクのクロワッサンを、お店自慢の天つゆにひたしていただくという、驚きの発想から生まれた一品です。クロワッサンの持つバターの豊かな風味と、天つゆの深い出汁の旨みが絶妙に絡み合い、一度食べたら忘れられない味わいだと話題を呼んでいます。このクロワッサンおでんは、屋台で立ち飲みだからこそ味わえる熱々のおいしさを大切にされており、持ち帰りはできません。

おでんの出汁は、東京の下町で大切にされてきた伝統的な味わいを活かした天つゆベースで、あっさりとしていながらも、具材の旨みをしっかりと引き立てています。定番の種も人気が高く、中でも出汁がしみこんだ大根やちくわぶ、そして卵、イカゲソ、厚揚げといった具材は、天つゆの優しい味わいと相まって、身体の隅々まで温めてくれます。また、お店ではオリジナル焼酎を使ったハイボールなど、おでんと相性の良いアルコールも取り揃えています。昔ながらの屋台の風情を守りながらも、支払いにはキャッシュレス決済にも対応しているなど、新しいサービスも取り入れられており、訪れる方を心地よく迎え入れる工夫がされています。お風呂上がりの一杯や、鶯谷の街歩きの〆に、ぜひ天つゆおでん屋台 泥亀で、心温まるひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。

京成上野駅からほど近い場所で、昼から夜まで活気にあふれているのが、こちらの立飲みカドクラです。上野アメ横の喧騒に溶け込むような、昭和レトロな雰囲気が親しみやすく、連日多くのお客さんで賑わっています。
お店は2009年に、もともと炭火焼のお店「火土蔵」として営業していた場所を、立ち飲みスタイルへと変えて誕生しました。
歴史は比較的短いものの、今や上野の昼飲みを代表する存在として定着し、地元のお客さんだけでなく、観光で訪れる方々にも愛されています。
立ち飲み席が中心ですが、お店の奥には座ってゆっくり過ごせる「VIPルーム」と呼ばれるテーブル席も設けられている点が特徴です。
立ち飲み席は料理と引き換えに代金を支払うキャッシュオンデリバリー方式ですので、小銭を用意しておくとスムーズに楽しめます。

このお店の魅力は、系列が焼肉店「太昌園」である強みを生かした、安くて美味しいお肉料理にあります。
店主の方が「作り置きはしない、揚げ物も全部揚げたて」というポリシーを持っていらっしゃるので、どの料理もできたての温かい状態で提供されます。
また、常連のお客様との温かい交流のエピソードも知られています。お店が大変混み合っているときには、常連の方が自発的に空いた食器を下げてくれるといった、お客様とお店の間にできた「輪」に救われて、このお店がさらに軌道に乗ったと言われています。
さらに、お店の周辺には、同じくハムカツが美味しいと評判のお店が並んでおり、このエリアが『ハムカツトライアングル』と呼ばれる名所になっているという、ユニークなエピソードもあります。

看板メニューとして誰もが注文するのが「五大名物」のひとつ、ハムカツです。
昔ながらの赤いハムを4枚も重ねて、ミルフィーユ状にして揚げていることから、ミルフィーユハムカツの愛称でも親しまれています。
サクサクとして、噛むとバリッとした心地良い食感の衣の中から、ハムの塩気と旨味がじゅわっと広がるボリュームたっぷりの一品です。
チーズが中に入ったバリエーションもありますので、お好みで試してみてはいかがでしょうか。
また、こちらも名物として人気の豚平焼もおすすめです。
豚肉とキャベツを卵でふんわりと包み込んだもので、鉄板で豪快に焼きたてを提供するからこそ、卵がとろふわでキャベツの食感も絶妙に楽しめる一皿です。

お肉にこだわるお店ならではの名物として、バラ焼も外せません。
系列の焼肉店から仕入れる新鮮な豚のバラ肉を使用しており、目の前の鉄板で調理する様子を見られるのも醍醐味です。
鉄板焼きの豪快な調理法で提供される熱々のバラ焼は、お酒との相性がぴったりです。
もうひとつの五大名物、牛スジ煮込みも、時間をかけてじっくりと煮込まれており、トロトロになった牛スジの濃厚な旨味が楽しめる人気メニューです。
その他にも、モツ煮込みや、さっぱりとしたポテトサラダ、マカロニサラダなど、手軽につまめるお料理も充実しています。
ドリンクは、ホッピーセットや焼酎ハイボールなど、お財布に優しい価格帯で提供されていますので、お昼からでも気軽に、自分だけのお気に入りの組み合わせを見つけて楽しんでください。
平日の昼には日替わりの定食メニューもあり、夜のお酒と料理を楽しむのとはまた違ったお得な体験ができます。

こちらは新鮮な魚を扱うお魚屋さんでありながら、お刺身や焼き魚などのお惣菜も充実しているお店です。東京メトロ南北線の東大前駅から歩いて数分の、東京大学のすぐそばという場所にあります。地元の人たちに長年愛され、日常の食卓を豊かにする鮮魚や手作りのお惣菜を求めて、多くのお客さんが訪れるスポットです。

「魚安」の最大の魅力は、なんといっても、魚屋ならではの新鮮な魚介類をお手頃に楽しめる点です。豊洲市場から直接仕入れた鮮魚をメインに、毎日様々なお魚が店頭に並びます。さらに、このお店の大きな特徴として、お魚に囲まれながら、その場で新鮮なお刺身やお惣菜を肴にちょっと一杯楽しめる「立呑み」スペースを設けていることが挙げられます。お店の一角で気軽に立ち飲みができるスタイルは、お魚好きやちょっとした休憩に立ち寄りたい人に好評です。また、珍しい魚が並ぶ日もあるため、釣り好きや魚の知識が豊富な方も、宝探しのような気分で足を運んでいます。

お惣菜の中でも、特に人気を集めているのが、ボリュームたっぷりのマグロの塩焼きです。お魚の旨味がぎゅっと詰まった一品で、立ち飲みのおつまみとしても、夕食の一品としても人気があります。もちろん、新鮮なお魚を使ったお刺身も外せません。日替わりで提供されるお刺身は、その日の仕入れによって種類が変わるため、いつ行っても新しい発見があります。定番の本マグロぶつの他、旬の魚介類がショーケースに並び、自宅用にもお土産にも喜ばれています。

立ち飲みで特に注目したいのが、曜日限定で提供される魚安セットです。一杯と刺盛り、選べるおつまみがセットになっており、少しずつ色々楽しみたい方にぴったりです。また、焼き魚や煮魚は、魚のプロが丁寧に調理しており、家庭ではなかなか出せない本格的な味わいが楽しめます。揚げ物も種類豊富で、てんぷらやフライなどが並び、お魚だけでなく、野菜の揚げ物も人気です。新鮮な魚介を使った様々なお惣菜は、どれもこれも食欲をそそるものばかりで、ついつい目移りしてしまうほどです。お刺身やお惣菜は、午後2時や3時頃から豊富に揃うため、夕方以降の時間帯は、より充実したラインナップに出会えるでしょう。

蒲田の街で、お酒とともにうなぎ料理を気軽に楽しめる立ち飲みスタイルのお店が、うなぎ家です。蒲田駅からほど近い場所にあり、昔ながらの暖簾をくぐると、気さくな店主が迎えてくれるアットホームな雰囲気が漂っています。うなぎ家は2002年頃に創業し、地元の方々から長く親しまれている、うなぎ専門店では珍しい立ち飲み処として知られています。

このうなぎ家の最大の特徴は、高級なイメージがあるうなぎを、串焼きという形で手軽に味わえることにあります。大田区の蒲田エリアは、かつて多くのうなぎ専門店やうなぎを扱う酒場が並んでいた歴史があり、その名残を受け継ぐお店の一つとも言えます。かつて呑川が整備される以前は水害に悩まされた地域であり、うなぎやどじょうといった水辺の生き物を食する文化が根付いていた背景があるのです。そうした土地で、うなぎ料理を立ち飲みで提供するというスタイルは、蒲田の庶民的な食文化を現代に伝えるものと言えるでしょう。営業時間が他の酒場よりも早い午後3時からと設定されているため、仕事帰りだけでなく、早い時間から一杯楽しみたい地元の方々や学生の方にも愛されています。カウンター席だけの店内は、常連さんで賑わい、活気がありながらも落ち着ける空間です。

お店の名物は何と言っても、注文が入ってから焼台で丁寧に炙り始めるうなぎ串焼きです。タレの香ばしさと、ふっくらとしたうなぎの食感が、お酒との相性を引き立てます。串焼きだけでなく、うなぎ料理の定番であるうざくや、希少な部位を味わえる肝焼きといった本格的なメニューも揃っています。さらに、このお店を訪れる多くの方が楽しみにしているのが、特製の割材を使ったシークワーサーサワーです。ラベルのないペットボトルに入った秘伝の割材でつくられるこのサワーは、常連さんの中には「これを飲むために店に来る」と言う方もいるほどの人気ぶりです。

うなぎ料理以外にも、立ち飲みで楽しめる多彩なメニューが用意されています。例えば、人気のもつ煮は、うなぎの串焼きと並ぶ名物として知られ、じっくり煮込まれた優しい味わいが体を温めてくれます。また、昔ながらの喫茶店のようなナポリタンなど、うなぎ屋とは思えない意外な料理があるのも、このお店の魅力です。もちろん、軽くつまめるポテトサラダや、うなぎ専門店の小鉢メニューであるうなとろなど、ちょっとした一品も充実しています。初めて訪れる方には、とくだねセットなど、複数の料理と飲み物がセットになったお得なセットもあり、千円台で気軽にうなぎを堪能できるのが嬉しいところです。蒲田で気軽にうなぎを味わいたいときは、ぜひこのうなぎ家を訪ねてみてはいかがでしょうか。

東京都中野区、JR中野駅南口からすぐの「レンガ坂」と呼ばれるおしゃれな通りに、ビールのおいしさを追求したユニークなお店があります。そこが、今回ご紹介する麦酒大学です。このお店は、その名の通り、ビールを深く楽しく学ぶにはぴったりのスポットで、日本で初めて「注ぎ分け」を名物にしたビアバーとして知られています。店主の山本祥三氏は、もともと酒類卸業でビールの専門家としてサーバーのメンテナンスなどを指導していた経験を持ち、その知識と技術を活かし、「多くのお客様に最高の生ビールのおいしさを知ってほしい」という情熱からお店を開かれました。店内には、ビールの製法や注ぎ方などが詳しく書かれた大きな黒板があり、まるで理科の実験室や教室のような雰囲気で、ビールを飲みながら楽しく学べるのが大きな魅力です。

麦酒大学が誇る最大の特徴は、たった一つの銘柄、キリンラガー生ビールを、注ぎ方やサーバーの違いで全く異なる味わいに変化させて提供する「注ぎ分け」の技術です。使用するサーバーは、現代の最新型サーバー（平成）と、昭和8年当時の設計図を元に復刻されたサーバー（昭和）の2種類があり、この2つのサーバーを巧みに使い分けることで、苦味や炭酸の強さ、泡の口当たりなどが変化した数種類の生ビールを味わうことができます。たとえば、現代サーバーで注ぐスタンダードな「麦酒大学注ぎ」は、きめ細やかなクリーミーな泡とキリッとした喉ごしが特徴で、思わず「とりあえず生！」と頼みたくなる一杯の最高峰とも言えるでしょう。一方、昭和の復刻サーバーで一気に注ぐ「一度注ぎ」は、香りと味わいのバランスを重視した爽快感あふれる仕上がりで、当時の元気なビールを彷彿とさせます。

また、ビールが苦手な方や女性に特におすすめなのが、チェコの伝統的な注ぎ方を取り入れた「ミルコ」です。これは、グラスいっぱいにビールではなく、泡だけを注いだ珍しい一杯で、泡が持つミルキーでやわらかな口当たりと、時間が経つと泡の部分が液体に戻るユニークな変化を楽しむことができます。他にも、泡を流すように三度に分けて注ぐことで苦味と炭酸を抑え、マイルドで飲みやすい味わいに仕上げた「三度注ぎ」など、注ぎ方のレパートリーは10種類以上に及び、同じ銘柄でもこれほど味が変わるのかという驚きを体験できます。店主は「美味しいビールは注ぎ方以前に、サーバーやグラスの徹底した洗浄、温度管理が重要」という考えを体現し、提供前の細部にまでこだわった準備によって、この神業のような注ぎ分けが生きているのです。

ビールに合わせるお料理も充実しています。ビールの魅力と同じくらい料理にも情熱を注ぐ店主が考案したメニューは、どれもビールをより美味しく引き立ててくれます。なかでも、お店ならではの工夫が光るのは、ビールに漬け込んだ「枝豆麦酒漬」や、ビールでじっくり煮込んだ「国産牛すじ煮込み」です。また、人気のサイドメニューとしては、ホップを練り込んだ「ビアフライトソーセージ」や、おつまみとしてもお食事としても楽しめる「『生』親子丼」などもあり、ビールとの相性を考え抜かれた逸品が揃います。2階はスタンディング、3階はテーブル席と、シーンに応じて使い分けできるのも嬉しいポイントです。店主のビールに対する深い愛と、驚きの注ぎ分けの技術を、ぜひ麦酒大学で体感してみてはいかがでしょうか。

京都市中央区京橋にある「立ち呑み処岡室酒店直売所」は、地元の人や観光客に愛される、歴史ある酒屋直営の立ち飲みスペースです。京阪電車やJRの京橋駅から歩いてすぐの好立地で、京橋のディープな雰囲気を味わえる商店街の中にあります。元々、ここは酒類の販売を行う岡室酒店が、その店舗の一部を開放して立ち飲みを始めたことがきっかけとなり、現在では気軽に美味しいお酒と肴を楽しめる場所として知られています。創業は古く、地域の歴史とともに歩んできたお店です。

「立ち呑み処岡室酒店直売所」の最大の魅力は、酒屋が直営している強みを活かした、お手頃な価格と豊富な品揃えです。特に日本酒のラインナップは圧巻で、定番の銘柄から季節限定の珍しいお酒まで、常に様々な種類が用意されています。お酒は店の奥にある冷蔵庫から自分で選び、カウンターに持っていくスタイルで、まるで宝探しのような楽しさがあります。お店の方に相談すれば、好みに合ったお酒を丁寧に教えてもらうこともできます。また、立ち飲みならではの活気ある雰囲気も魅力の一つで、お客さん同士や店員さんとの距離が近く、初めて訪れる人でもすぐに馴染める居心地の良さがあります。

こちらで人気を集めているのが、日本酒やビールによく合う定番のおつまみです。特に、注文を受けてから手際よく揚げてくれる揚げ物各種は、アツアツの状態で提供され、お酒との相性が抜群です。さっくりとした衣と中のジューシーな具材がたまりません。また、素朴ながらも味わい深いポテトサラダは、常連客からの人気が高く、お店の看板メニューの一つとなっています。

新鮮な魚介を使った刺身も、その日の仕入れによって内容は変わりますが、酒屋直営だからこその質の高さが感じられると評判です。他にも、ちょっとした箸休めにぴったりの冷奴や、野菜を使った煮物など、日替わりのお惣菜が豊富に並びます。カウンターにはずらりと並ぶ魅力的なおつまみが、訪れる人たちの目を楽しませています。このお店では、お酒を心ゆくまで楽しめるよう、ビールやチューハイ、焼酎なども用意されています。地元の人たちの日常の風景に溶け込みながら、美味しいお酒と肴で、一日の疲れを癒やしてくれる「立ち呑み処岡室酒店直売所」は、京橋の立ち飲み文化を体現しているような存在です。

大阪市西成区、地下鉄動物園前駅から歩いてすぐの場所に、地元の方はもちろん遠方からの旅行者にも愛され続ける立ち飲み処の「マルフク」があります。このお店は、ホルモン焼きを名物とする立ち飲み文化を象徴するお店の一つとして、その界隈で親しまれてきました。開業は昭和58年、1983年のことで、かつては近隣で働く方々の活力を支える「魂の充電所」として、朝早くから多くの人々の胃袋を満たしてきた歴史を持っています。黄色の看板が目印の建物は、まさに昭和のレトロな雰囲気をそのまま残しており、初めて訪れる方には少しディープな印象を与えるかもしれませんが、中に入れば温かい活気に包まれているのがわかります。

「マルフク」の最大の特徴は、朝の8時から暖簾を掲げていることです。多くの酒場がまだ静かな時間帯から、名物のホルモン焼きとお酒を楽しめるというスタイルが、このお店を唯一無二の存在にしています。店内はL字型のカウンター席が中心で、お客さん同士の肩が触れ合うほどの親密な空間が広がっています。昔ながらの雰囲気を守るためか、「大声禁止」という暗黙のルールがあり、それがお客さん同士の心地よい距離感と静かな活気を作り出しているようです。また、かつては地元の労働者の方が中心だった客層も、今ではその美味しさと雰囲気に魅了されて、若い女性の一人客や観光で訪れた方々など、幅広い層の方々が訪れて賑わっています。このお店の変わらない味と、変わりゆく街の新しい側面が交差するさまは、訪れるだけでも楽しさがあります。

こちらに来たらまず注文したいのが、やはり名物の鉄板焼きホルモンです。甘辛く濃厚な秘伝のタレと、生ニンニクの香りが食欲をそそります。鉄板でジュウジュウと音を立てながら焼き上げられ、プラスチックのトレーに盛られて提供されるその姿は、飾らない本物のB級グルメといった風情です。噛むほどに旨みが広がるプリプリとした食感のホルモンは、このお店の顔と言えるでしょう。このホルモンと一緒に楽しむ定番の組み合わせとして、多くの常連さんに愛されているのが樽ハイレモンです。爽やかな酸味が濃厚なホルモンの風味を心地よく洗い流し、また一口と箸を進めたくなる最高の相性です。

お店にはホルモン以外にも、ぜひ味わっていただきたいメニューがたくさんあります。特に人気の部位の一つが、脂の旨みがたまらないアブラです。また、食感がたまらない豚ハラミも人気の品です。さらに、壁の手書きメニューに目を凝らすと、珍しいメニューを見つけることができます。例えば、希少部位とされるハナスジは、その独特の食感と風味に一度出会うと忘れられない隠れた名物として知られています。また、女性にも人気のコブクロ（子袋）をチョジャンで和えたメニューや、丁寧にボイルされた豚足など、他店ではあまり見かけないような一品料理が並び、どれを頼もうか迷うのも楽しい時間です。立ち飲みですが、テイクアウトもできるので、ご自宅で「マルフク」の味を楽しめるのも嬉しい点です。

大阪メトロ動物園前駅のほど近く、新世界を代表する活気あふれるジャンジャン横丁の一角に、立ち飲みスタイルで長年愛されているお店がのんきやです。創業から60年以上にわたり、地元の方々はもちろん、観光で訪れる多くのお客様の憩いの場となってきました。通天閣や天王寺動物園といった賑やかな観光地に近いこの場所で、朝の8時から営業を始め、昼飲みや夕方の一杯を楽しむ人々の胃袋を満たし続けています。店内は昔ながらの立ち飲みスタイルで、コの字型のカウンターの目の前には名物の料理が並び、調理の様子を間近に見ながら、活気ある雰囲気の中で気軽に楽しめるのが魅力です。

このお店の最大の魅力は、長年愛されてきた出汁の香りがふわりと漂う、豊富なおでんと、もうひとつの名物どて焼きが揃っている点です。とくにのんきやのおでんは、ただ具材を煮込むだけでなく、その種類とユニークさでお客様をわくわくさせています。定番の練り物や野菜に加えて、他ではなかなか見かけないような変わり種が30種類以上も並んでいるのが特徴です。出汁は甘さを控えた、しっかりと深い味わいが評判で、それぞれの具材の持ち味を大切に引き出しています。朝早くから開店しているため、旅の始まりや、ちょっと休憩したいときにも立ち寄りやすく、大阪のディープな酒場文化を体験できる聖地のような場所として親しまれています。

数あるおでんの中でも、特に知られている名物が玉ねぎです。甘さが控えめな出汁でじっくりと煮込まれた玉ねぎは、トロトロになるほど柔らかく、さらに仕上げに出汁醤油をかけて提供されるというひと手間が加わることで、素材の甘さと出汁の旨味が凝縮された深い味わいになります。この玉ねぎをお目当てに訪れるお客様も多いと言われています。また、おでんと並ぶ二大看板であるどて焼きは、牛のアキレス腱を甘めの味噌でじっくりと煮込んだもので、トロリとした食感と濃厚な味噌の風味がお酒によく合います。

さらに、お店の個性が光るユニークなおでん種としては、具材の豊富さも注目を集めています。例えば、くずきりや、珍しいカレーとうふ、さらにはレタス（カレー風味）といった変わり種があり、訪れるたびに新しい発見がある楽しみがあります。また、まぐろの巾着も人気の一品で、お揚げの中にまぐろと野菜を練り合わせたタネが詰められており、おでんの出汁と相まってまろやかな旨味を醸し出します。これらの工夫を凝らした一品料理を含め、約30種類の料理がカウンターに並び、お客様を飽きさせません。大阪の気取らない活気と、人情味あふれる雰囲気を楽しみたいなら、ぜひ一度立ち寄っていただきたい新世界の名店です。

地元に長年愛される、創業100年を超える立ち呑み処の暖簾を受け継ぐお店です。お立ち呑み処 赤垣屋 野田阪神店は、阪神電車と大阪メトロの野田阪神駅から歩いておよそ1分という、大変便利な場所にお店を構えています。駅のすぐ真下、高架下の隅っこにあり、通勤や乗り換えの途中にふらりと立ち寄れるのが魅力で、特に仕事帰りの方々の憩いの場になっています。立ち呑みと聞くと、少し入りにくいイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、店内は明るく清潔感があり、初めての方でも安心して利用できる雰囲気づくりを大切にしています。営業時間は平日のお昼過ぎから夜までで、土曜日・日曜日・祝日はお休みをいただいています。

この「赤垣屋」の歴史は古く、創業は今から100年以上前の大正12年（1923年）にさかのぼります。当初は酒販店として大阪・福島で始まりましたが、初代が「よりおいしいお酒をより安く提供して、多くのお客様に喜んで頂きたい」という強い思いから、大正14年（1925年）にはなんと全国で初めて立ち呑み店を開業したと言われています。創業のきっかけとなったのは、酒販店時代に「ここで酒を飲ませてくれないか」というお客様にお酒を提供したところ、「おいしかったよ、ありがとう」という感謝の言葉と代金をいただいたエピソードです。このとき、お客様に喜んでいただくことこそが商売だと確信し、現在の立ち飲み業態の原点になりました。また、創業者の母である尾﨑小竹氏が、当時の「女実業家」として卓越した手腕を発揮し、お店の基礎を築いたという記録も残っています。この「安くて、おいしくて、楽しい」という、創業から変わらない精神が、現代の野田阪神店にもしっかりと受け継がれているのです。

看板にも掲げられている名物のどて焼きは、多くのお客様が注文する必食の一品です。時間をかけてじっくり煮込まれた牛すじ肉やこんにゃくが、濃厚なタレと絶妙に絡み合い、お酒がすすむ深みのある味わいです。もう一つの人気メニューは、出来立ての温かさが嬉しいだしまきです。家庭的な優しさのある味わいで、お酒のお供はもちろん、お食事としても楽しめる優しい味わいが愛されています。また、季節の移り変わりを感じられる旬の食材を使ったメニューも毎月登場し、いつ訪れても新しい味に出会える楽しさがあります。例えば、春には若竹煮や蛍いか酢味噌といった、季節ならではの料理が並び、多くのお客様に好評です。

その他にも、創業の精神を今に伝える、リーズナブルでおいしいメニューが豊富に揃っています。定番人気のポテトサラダは、シンプルながらもどこか懐かしい味わいが魅力で、ホッとひと息つけるような存在です。新鮮な天盛りまぐろなどのお刺身も取り扱っていて、さっぱりとした魚介類で一杯楽しみたい方にもぴったりです。そして、ドリンクメニューの中でも特にお財布に優しい価格で提供されているラッキーハイボールは、常連さんたちにも人気の隠れた名物です。野田阪神店は、乗り換え途中の「ちょっと一杯」の短い時間でも、しっかりとした満足感と温かい気持ちをくれる、地域に根付いた素敵な立ち呑み処です。

梅田の地下街にあり、大阪の食文化を支えてきた串カツの専門店です。地下鉄の梅田駅に直結している「ホワイティうめだ」のノースモール1という便利な場所に店を構えるヨネヤ 梅田本店は、創業当時から変わらない伝統の味を守り続けているお店として、地元の方々や観光客に長く愛されています。1963年（昭和38年）にホワイティうめだが開業したのに合わせて営業を始め、60年以上にわたり、揚げたての熱々串カツを気軽に楽しんでもらうというスタイルを貫いてきました。朝は9時から開店しており、午前中からお酒と串カツを味わえる、大阪らしい「朝飲み」を楽しめるお店としても知られています。

お店の一番の特徴は、串カツの醍醐味である「ソースの二度づけ禁止」というルールを守りつつも、お客様が心ゆくまで串カツを楽しめるよう配慮されている点です。一般的な大皿にソースを共有するスタイルとは異なり、梅田本店では串カツを注文すると、ソースとキャベツが一人前ずつ用意されます。このため、他の方を気にすることなく、自分専用のソースに好きなだけつけて味わうことが可能です。また、カウンター席のほかにテーブル席も用意されていて、おひとり様でも仲間や家族と一緒でも、その時の気分に合わせたスタイルで串カツを堪能することができます。串カツの命ともいえる衣は、薄くて軽やかな口当たりが魅力で、サクサクとした食感の良さが素材そのものの持ち味を際立たせています。

定番の串カツの中でも特に人気があるのが、牛かつです。肉の旨味が凝縮されたジューシーな味わいが、お店自慢の軽やかな衣と、伝統を受け継ぐ特製ソースと相まって、いくつでも食べられると評判です。魚介類からは、新鮮なえびや、ふっくらと揚がったいか、淡白な味わいが衣で引き立つきすなども、幅広い年齢層のお客様から親しまれています。また、定番メニューだけでなく、月替わりで登場する創作串かつも、お店の大きな魅力の一つです。旬の食材を大胆に使ったり、他ではあまり見かけない珍しい食材を串カツに仕立てたりと、一工夫凝らした串かつが毎月変わるため、何度訪れても新しい美味しさに出会える楽しさがあります。例えば、月によってはグリーンアスパラガスを一本丸ごと揚げたアスパラの一本揚げなど、季節感を大切にしたメニューが並びます。定番のれんこんや玉ねぎといった野菜串も、揚げて熱を通すことで素材本来の甘みが引き立ち、軽めの衣との相性がとても良いです。串カツには、純ハイレモンやレモン酎ハイといったさっぱりとしたドリンクを合わせると、後味がすっきりとして、ついつい次の串に手が伸びてしまいます。創業当時から変わらない味と、時代に合わせてお客様を思いやるサービスが融合した、ヨネヤ 梅田本店の串カツは、大阪の元気な食文化を感じさせてくれるでしょう。