長野県の南信州エリア、JR飯田駅から歩いてすぐの場所にあります新京亭は、地元の方に長年愛されてきた昔ながらの中華そばのお店です。創業は1967年（昭和42年）2月と、この地域の中華そば文化を長く支えてきた一軒です。ルーツは、戦後に飯田の街中で開店した「上海楼」にあり、そちらで修行を積んだ店主のお祖父様が独立して、この新京亭を開いたと伝わっています。時代の流れと共に、飯田下伊那地域に中華そばを出すお店が増え、現在の飯田独特のラーメン文化が広がっていくきっかけを作ったお店の一つでもあります。現在の店舗は、かつての場所から移転して、より駅近くの利便性の高い場所で営業されていて、お一人様からご家族連れまで、幅広いお客様が訪れるお店です。

新京亭の看板メニューである中華そばは、一般に「飯田ラーメン」とも呼ばれるこの地域のラーメンの特徴をよく表しています。その最大の特徴は、麺の製法にあります。麺はかんすいではなく重曹を使って製麺されていて、白っぽい見た目のストレート麺は、独特の柔らかさとモチモチとした食感を生み出しています。また、スープは弱火で長時間煮込んだ豚骨スープに煮干し出汁を合わせて、さらにチャーシューを煮込む時に使う醤油をブレンドした、オリジナルのあっさりとした味わいです。豚骨ベースでありながら、背脂が浮くような濃厚さはなく、あっさりとしていて優しい風味が特徴で、つい最後の一滴まで飲み干したくなるような、深みのある味に仕上げられています。このあっさりとしたスープと、独特の自家製麺の組み合わせが、多くのお客様を魅了し続けているのですね。

メニューの中でも、特に人気を集めるのが、お店自慢の中華そばです。透き通るような美しいスープに白い麺が沈むその見た目も食欲をそそります。この中華そばに、豚のもも肉を使った自家製チャーシューをたっぷりのせたチャーシューメンも定番の一品です。肉の繊維まで醤油の風味が染みわたるように煮込まれたチャーシューは、脂身が少なくヘルシーで、あっさりスープとの相性が抜群で、特に脂身が苦手な女性のお客様にも食べやすいと評判です。麺類にはこの他、つるりとした食感を楽しめるワンタン麺や、彩り豊かな具材がたくさんのった五目そばなど、バリエーション豊富に揃っています。

麺類以外にも見逃せない名物料理がたくさんあります。特に「絶品」との呼び声も高いサイドメニューが、カリッと揚げた揚げ餃子です。パンパンに張ったパリパリサクサクの皮に、キャベツが主体となったザクザク食感の餡が詰まっていて、ビールのお供にはもちろん、ご飯のおかずとしても大変人気があります。この揚げ餃子は一個から注文ができ、手軽に楽しめるのも嬉しいところです。また、チャーハンや、出汁の効いた優しい味わいの親子丼や玉子丼といった丼物も人気が高く、お腹いっぱいになりたい時にもぴったりです。麺類のサイドメニューとして選ぶお客様が多いのがトン汁で、具材がたっぷりで味噌の風味が効いたこちらは、地域に根付いた食堂としての新京亭の魅力が感じられる一品です。地元の人々に長く愛される、飯田の中華そばの伝統の味を、ぜひ一度味わってみてください。