山形市七日町、歴史ある商店街の一角に店を構える、地元に長年愛される老舗の中華料理店です。昭和35年（1960年）に創業して以来、60年以上にわたり、山形の食文化に深く根ざした親しみやすい中華料理を提供し続けています。初代店主が戦後、中国東北部（満州）で得た経験と技術を基に山形に戻り開業したのが始まりと伝えられており、本場の技法を受け継ぎながらも、日本の食材や山形独自の風味を取り入れた独自の味わいを確立してきました。特に山形市内で古くから「五番」と言えばこの店を指すほど、地元の人々にとってはなじみ深い存在となっています。

このお店の最大の特徴は、手間を惜しまない丁寧な仕事と、代々受け継がれてきた伝統の味を守り続けていることです。スープ一つをとっても、時間をかけてじっくりと煮出し、素材の旨味を最大限に引き出すことにこだわっています。また、豊富なメニューの中でも特に、長年愛され続けている五目焼きそばや、山形では珍しい餡かけの広東麺などが有名です。老舗でありながらも、地元産の食材を積極的に取り入れるなど、常に新しい試みにも挑戦し続けており、伝統の味と新しい食のトレンドを融合させた料理も生み出しています。地域に根ざしたお店として、地元のお客様の好みに合わせた味付けやメニュー構成を大切にしている点も、長年愛され続けている理由の一つと言えるでしょう。

お店の料理の中でも、多くの人が「これぞ五番の味」として挙げるのが、看板メニューの一つである五目焼きそばです。カリッと香ばしく焼き上げた麺に、海鮮や野菜がたっぷり入ったトロリとした餡がかけられており、その絶妙なバランスが食欲をそそります。この餡は、野菜の甘みと海鮮の旨味が凝縮された深い味わいが特徴で、長年のファンが多い逸品です。また、山形では比較的珍しいスタイルの広東麺も人気で、熱々の餡が麺に絡みつき、体を芯から温めてくれます。さらに、チャーシューの旨味が染み込んだ炒飯も隠れた人気メニューで、シンプルながらも奥深い味わいが特徴です。

その他にも、地元のお客様に愛され続けている定番メニューが豊富にあります。特に麺類では、昔ながらの中華そばの味わいを守り続けるラーメンや、濃厚なスープが特徴の味噌ラーメンも人気です。また、しっかりと味付けされた柔らかな豚肉がたっぷり入った肉丼も、ボリューム満点で多くの常連客から支持されています。一品料理では、皮がパリッとしていてジューシーな餃子も、ビールのお供やご飯のおかずとして欠かせない存在です。どの料理も、地元のお客様に寄り添った飽きのこない味わいで、世代を超えて親しまれている山形の食の宝と言えるでしょう。