銀座の街並みで長年にわたり愛されてきた、レトロな雰囲気が魅力の喫茶店です。銀座仏蘭西屋は、東京メトロ銀座駅からすぐの場所、松屋銀座の裏手にひっそりと佇む地下の空間にあります。創業は昭和55年、1980年のことで、関西で長く歴史を紡いできた「カフェ英國屋」グループが、東京で初めてオープンさせたお店として知られています。しかし、店名に「英國屋」ではなく「仏蘭西屋」という名を冠したのは、当時銀座にあった同名の老舗紳士服店との混同を避けるためであったと言い伝えられています。

階段を下りて地下へ進むと、そこには街の喧騒を忘れさせてくれるような、クラシカルで落ち着いた空間が広がっています。店内の中心には豪華なシャンデリアが灯り、重厚感のある椅子やテーブルが配されていて、まるで異国のカフェに来たかのような大人の雰囲気を醸し出しています。銀座という一等地でありながら、昔ながらの温もりを感じさせる内装と、手頃な価格帯のメニューが好評を博し、幅広い世代のお客様から支持を得ています。特に女性のお客様からの人気が高いのは、穏やかできめ細やかなスタッフの接客も理由の一つと言われています。

このお店の大きな特徴は、喫茶店としての質の高いサービスにあります。コーヒーは美しいウェッジウッドのカップで提供され、苦みと酸味のバランスがとれた飲みやすいブレンドコーヒーが、なんとおかわり1杯無料という嬉しいサービスが付いています。また、朝8時から夜遅くまで営業している点も魅力です。朝は午前11時までモーニングセットが提供され、ランチタイムも比較的長く、訪れる時間を選ばない柔軟さも、お客様にとって利用しやすいポイントになっています。タバコが苦手な方にも安心して過ごしていただけるよう、店内は2020年4月より完全禁煙になりました。

お店を代表する看板メニューの一つが、テレビの特集でも紹介された**オムライスオーブン焼き**です。チキンライスを包んだ卵の上に、さらにプルプルとした温泉卵を乗せてオーブンで丁寧に焼き上げるという、ひと手間かけた伝統の味が楽しめます。そして、もう一つ人気を二分するのが、ベーコンとアスパラのスパグラタンです。このグラタンは、一般的なショートパスタではなく、スパゲッティが使われているのが特徴です。ホワイトソースとトマトソースをたっぷりとかけ、こんがりと焼き色をつけた濃厚なオーブン料理で、食べ応えがありながらもどこか懐かしい美味しさです。

軽食からデザートまでメニューが充実しており、焼きたてが香ばしいワッフルサンドも人気を集めています。これは、ワッフルを食事系のサンドイッチとして味わうことができるユニークな一品で、ヨーグルトがセットになったお得なメニューもあります。食後のデザートやティータイムには、手作りのスイーツがおすすめです。中でも、かつては関西限定だったものが銀座でも楽しめるようになった**シフォンケーキ**や、新鮮な**オリジナルショートケーキ**など、心が和むようなメニューが並びます。ゆったりとした時間の中で、上質なコーヒーときめ細やかなおもてなしが、銀座での特別なひとときを演出してくれます。