【東京】浅草「nacol」

浅草駅(つくばEXP)「nacol」

浅草寺の裏側に広がる静かな住宅街、観音裏と呼ばれるエリアにひっそりと佇む、まるで大人の隠れ家のようなイタリアンレストランです。このお店、nacol(ナコル)は、イタリア語で生ハムを意味する“サルメリア”から着想を得た造語に、「交差・融合」を意味する“コラボレーション”の想いを込めて名付けられました。オーナーシェフの家亀智裕氏は、イタリア北部モデナでの修行や、日本での生ハム専門店経営で培った深い経験と、生ハムへの情熱を注ぎ、2024年4月にこの地で新たなスタートを切りました。その独創的な料理は高く評価され、「イタリアン 百名店 2025」にも選出されています。

nacolの最大の魅力は、ディナーの「季節のおまかせコース」で貫かれる、生ハムを主役に据えた唯一無二の料理スタイルです。家亀シェフは、生ハムの可能性を広げたいという哲学のもと、前菜にとどまらず、スープやパスタ、メイン料理に至るまで、コースの物語の軸として生ハムを登場させます。特に注目すべきは、シェフが極めたスライス技術で、24ヶ月熟成の生ハムを約0.8mmという超極薄にカットします。口に入れた瞬間に体温でとろけて香りと旨味が広がり、儚く消えていくような食感は、生ハムの概念を変えるほどの驚きに満ちています。店内はカウンター席が中心のわずか8席という特別な空間で、温かい照明のもと、シェフとの距離も近く、目の前で繰り広げられる料理の工程や素材へのこだわりを聞きながら、ゆったりと食事の幸福感を味わえます。

数ある料理のなかでも、スペシャリテとして多くの方を魅了するのが、生ハム、発酵バター、ブリオッシュです。香ばしくトーストされた自家製ブリオッシュに、極薄にスライスされた生ハムと、芳醇なエシレ発酵バターが合わさるこの一皿は、リッチな風味と口溶けの良さが絶妙なバランスで調和しています。また、生ハムは熱々の炊き立てご飯に乗せて提供されるといった、伝統的なイタリアンにとどまらないユニークなアプローチでも楽しめます。旬の食材との「交差」もこの店のテーマであり、季節ごとの新鮮なフルーツや濃厚なリコッタチーズなどと生ハムを組み合わせることで、素材の持つ甘みや酸味が、生ハムの塩気や熟成香を一層引き立てます。

生ハムを軸としつつも、コースの満足感を高める他の料理にもシェフの技術とこだわりが光ります。一例として、丁寧に作られた手打ちパスタは、旬の素材を使ったソースと深く絡み合い、もちもちとした食感が印象的です。メインディッシュには、藁で燻焼きにした黒毛和牛などの肉料理が用意され、香ばしい風味と火入れの妙によって、力強い味わいを堪能できます。これらの料理をさらに引き立てるのが、イタリア産を中心としたナチュラルワインの数々です。料理に合わせて選ばれたワインとのペアリングも人気が高く、食の体験をより豊かにしてくれます。完全予約制で、数カ月先まで予約が埋まってしまうこともありますので、訪問を計画される際は、早めに予約状況をご確認ください。

  • おまかせコース 10品程度 14000円〜
  • フランス産 ジャンボンオーヴェルニュ 21ヶ月熟成 発酵バター ブリオッシュ
  • イベリコベジョータ60ヶ月
  • ぐんま麦豚12ヶ月熟成 魚沼産コシヒカリ 雪椿
住所 東京都台東区浅草3-28-9 サイドプレイス 1F
電話 050-5593-4162

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カテゴリー: 台東区有吉弘行
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