東京タワーのふもと、東麻布の閑静なエリアに店を構えるのが、本格的な薪窯焼きピッツァの専門店PST、正式名称をピッツァ スタジオ タマキと言います。オーナーの玉城 翼氏が、長年の修行経験を活かし、2017年2月にこの東麻布に一号店をオープンさせました。開店からわずか一年足らずで、グルメガイドのミシュランでビブグルマンを複数年連続で受賞するなど、その確かな実力は国内外から高く評価されています。玉城氏は、ナポリピッツァをベースにしながらも、独自の工夫を重ねた「日本のピッツァ」を作り上げることを目標に、日々情熱を注いでいます。

PST 東麻布店の最大の特徴は、ピッツァ職人であるピッツァイオーロの技を間近で見られる「寿司屋スタイルのカウンター」です。店内の中心に堂々と設けられたこのカウンターは、職人との会話を楽しみながら、ピッツァが炎の上がる薪窯へと入れられ、焼き上がり、目の前に供されるまでの一部始終を特等席で眺められる特等席になっています。臨場感あふれる空間でいただくピッツァは、より一層格別な味わいに感じられるでしょう。玉城氏が追い求めるのは、本場ナポリの伝統を受け継ぎつつも、日本人の味覚に合う「軽さ」を持ったピッツァ生地です。そのために、小麦粉は4種類を独自にブレンドし、一般的なピッツェリアよりも高い約500度という高温の窯で、わずか1分ほどで一気に焼き上げます。焼く直前には沖縄県産の塩を軽く一振りする工夫も施され、サクサクとしていながらもっちりとした食感を両立させ、ピッツァの耳まで美味しく、軽く食べられると評判を集めています。

お店の看板メニューは、オーナーの名前を冠したシグネチャーピッツァ、Tamaki（タマキ）です。このTamakiは、フレッシュなチェリートマトと薫香豊かなスモークモッツァレラチーズ、さらにペコリーノロマーノチーズ、そしてフレッシュバジルを使ったトマトベースのピッツァです。最大の特徴は、焼き上げる工程でチーズとトマトソースが完全に混ざり合わないよう絶妙なタイミングで窯から取り出すことで、口の中でそれぞれの味が溶け合い、豊かな風味の変化を楽しめる点です。上に添えられたミニトマトを潰しながら食べるという食べ方もおすすめです。

また、PSTでは、ピッツァを通じて日本の食材の素晴らしさも発信しています。玉城氏が沖縄出身であることから、沖縄の勝山シークワーサーを使うなど、和の要素を取り入れたメニューも人気です。特に、時期によって提供されることがあるサバと青紫蘇のピッツァは、マリネしたサバの旨味に青紫蘇の爽やかな香りとシークワーサーのフレッシュな酸味が加わり、和食のような繊細なバランスが魅力の一枚として多くのお客様に愛されています。ピッツァだけでなく、サイドメニューも充実しています。たとえば、自家製の窯焼きラザーニャは、熱々のオーブンでグツグツと煮えたぎった状態で提供され、窯焼きならではの香ばしさと濃厚なチーズの風味が食欲をそそります。前菜として定番人気のブロッコリーのガーリック風味は、冷たい一品として長年親しまれてきたものが、温かいアンティパストとしてリニューアルし、変わらぬ人気を誇っています。本格的なピッツァを堪能しながら、厳選されたワインとのペアリングも楽しめる、大人のための特別なピッツェリアです。