松山市の広大な松山中央公園内に位置する、四国最大級の規模を誇る本格的な野球場です。2000年（平成12年）5月に開場したこのスタジアムは、夏目漱石の小説「坊っちゃん」にちなんで「坊っちゃんスタジアム」という愛称で親しまれています。プロ野球のオールスターゲームや公式戦が開催されるほか、高校野球の県大会のメイン会場としても使用されており、愛媛の野球文化の聖地として県民から深く愛されています。四国の豊かな自然に囲まれた美しい景観と、最新の設備を兼ね備えた全国屈指の地方球場として知られています。

このスタジアムには、正岡子規をはじめとする愛媛の熱い野球の歴史を伝える「野球歴史資料館（の・ボールミュージアム）」が併設されているという、野球ファンにはたまらない特徴があります。正岡子規が自身の幼名である「升（のぼる）」にちなんで「野球（のぼーる）」という雅号を用いたというエピソードや、愛媛県出身の野球殿堂入りを果たした先達たちの功績が詳しく紹介されています。また、球場内には「坊っちゃん」の登場人物をモチーフにしたレリーフや案内板が各所に配置されており、文学の街・松山ならではの遊び心を感じさせる演出が随所に散らばっています。

試合観戦の際にぜひ注目していただきたいのが、スタジアム自慢の内野スタンドです。すり鉢状に設計された観客席はどこからでもグラウンドが近く感じられ、プロの迫力あるプレーを間近で体感することができます。また、夜間照明の美しさも評判で、カクテル光線に照らされた天然芝の鮮やかな緑は、まさにナイター観戦の醍醐味といえるでしょう。球場周辺には広々とした歩行者デッキが整備されており、試合前後にゆったりと散策を楽しむことができるのも、公園併設型スタジアムならではの魅力です。

スタジアムを訪れた際のお楽しみといえば、地元愛媛の味覚が楽しめる球場グルメです。試合開催日には多くの屋台や売店が並び、特に愛媛県産の宇和島鯛めしをアレンジしたお弁当や、地元の特産品を活かしたじゃこ天の揚げたては、観戦のお供として絶大な人気を誇ります。さらに、松山を代表する銘菓として知られる一六タルトや坊っちゃん団子が販売されることもあり、野球観戦をしながら松山観光気分も味わえます。スタジアム限定のオリジナルグッズも見逃せず、夏目漱石の挿絵をモチーフにしたデザインのアイテムなどは、旅の思い出やお土産として喜ばれています。