東京都世田谷区に広大なキャンパスを構える東京農業大学。
その一角にある「食と農の博物館」は、単なる大学の付属施設という枠を超え、食と農に関する多様な展示を通じて、
私たちの生活の根幹を支える「食」と「農」の奥深さ、面白さを体験できる知的好奇心の宝庫です。
展示は、食料の生産から消費、そして文化に至るまで、食と農に関わるあらゆる側面を多角的に捉えています。
例えば、世界各地の珍しい農具や、日本各地の伝統野菜の種子、食文化に関する歴史的な資料などが展示されており、
普段何気なく口にしている食べ物が、どのようにして私たちの食卓に届くのか、その背景にある人々の知恵や工夫を学ぶことができます。

単に展示物を見るだけでなく、五感を使って食と農を体験できる工夫が凝らされているのも、この博物館の大きな魅力です。
例えば、昔ながらの農作業で使用された道具に触れたり、様々な食材の香りや味を体験できるコーナーがあったりします。
また、大学の農場で栽培された季節の野菜や果物を味わえるイベントが開催されることもあり、
見て、触れて、味わうことで、食と農への理解を深めることができます。

東京農業大学が運営する博物館であるため、大学の研究成果や教育活動と密接に連携した展示が行われているのも大きな特徴です。
最新のバイオテクノロジーを活用した品種改良の紹介や、持続可能な農業に関する研究などが紹介されており、最先端の食と農の知識に触れることができます。

東京農業大学には、醸造学科をはじめ、食や農に関する専門的な知識と技術を学ぶ学科が設置されており、多くの卒業生が酒造りの道に進んでいます。
彼らは、大学で培った科学的な知識や伝統的な技術を基盤として、それぞれの蔵元で独自の酒造りを展開しています。
食と農の博物館では、日本酒の製造工程や歴史、文化に関する展示も行われています。
これらの展示を見ることで、農大出身の蔵元たちが、どのような知識や技術を基本に酒造りに取り組んでいるのか、その背景を深く理解することができます。