讃岐うどん愛好家なら一度は訪れたいと願う、まさに聖地ともいうべき存在です。
その魅力は、単なる美味しさに留まらず、周囲の自然と一体となった独特の雰囲気、そして脈々と受け継がれる伝統的な製法にあります。

山内うどん店の最大の特徴は、その麺が持つ他に類を見ない「コシ」と「のど越し」。
毎朝4時から始まるという仕込みは、手作業による練り込みと足踏みを何十回も繰り返すことで、小麦の旨味を最大限に引き出した力強い麺を生み出します。
さらに、茹で上げには薪をくべた大釜を使用。一気に高温で茹で上げることで、独特の弾力と滑らかな食感を両立させています。
この薪で茹でる製法は、一般的なうどん店ではなかなか見られない、山内うどん店ならではのこだわりです。
そして、茹で上がった麺を地下水で締めることで、そのコシは一層際立ち、透明感のある美しい麺へと昇華されます。

出汁もまた、山内うどんの味を語る上で欠かせない要素。
昆布、かつお節、そして香川ならではのいりこを厳選し、2時間かけて丁寧に煮出すことで、魚介の豊かな旨味が凝縮された、透き通った黄金色の出汁が完成します。
沸騰させずにじっくりと旨味を引き出すこの手法が、繊細でありながら奥深い味わいを実現しています。

メニューはシンプルですが、その中でも特に人気を集めるのが、麺と出汁の温度を組み合わせる「かけうどん」です。
「ひやあつ」（冷たい麺に熱い出汁）は、冷水で締めた麺の強いコシと、温かい出汁のハーモニーを存分に楽しめる山内うどんの代名詞とも言える一杯です。
他にも、小麦本来の風味を味わえる「しょうゆうどん」も根強いファンが多く、一杯目にかけうどん、締めにしょうゆうどんを楽しむという通も少なくありません。

また、忘れずに味わっていただきたいのが、トッピングとして絶大な人気を誇る「げそ天」です。
地元「藤原屋」から仕入れるという大きなげそ天は、衣に出汁が染み込み、麺との相性も抜群。
この組み合わせが、山内うどん体験をさらに豊かなものにします。

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