活気あふれる中央卸売市場の場外市場の一角にある、ひときわ異彩を放つラーメン店です。
従来のラーメンの概念を覆す「ガストロノミーらぁ麺」というジャンルを確立し、連日多くの人々を魅了しています。その最大の特徴は、ミシュランガイドで星を獲得した札幌のフランス料理店「ル・ミュゼ」の石井誠シェフが監修し、イタリア料理で研鑽を積んだ磯部拓也オーナーシェフが腕を振るうという、まさにフレンチとイタリアンの技法が融合したラーメンである点です。

「とくいち」のらぁ麺の根幹をなすのは、フレンチのコンソメを思わせる、透明感がありながらも旨味が凝縮された深い味わいのスープです。手間と時間をかけて鶏の旨みを極限まで抽出したこのスープは、一口飲んだ瞬間にその洗練された風味に驚かされることでしょう。
定番の「特上らぁ麺 SPECIAL 熊石 塩」は、このスープに北海道熊石町産の厳選された塩が調和し、究極のうまみを生み出しています。
革新的なアプローチで生み出された「特上らぁ麺 液体味噌」は、従来の味噌ラーメンの概念を根底から覆す、透き通ったスープが最大の特徴。
このスープは、鶏のコンソメをベースに、自家製の椎茸オイルと特製の液体味噌を絶妙なバランスで組み合わせることで、優しくも奥深い旨味と独特の香りを生み出しています。
一般的な味噌ラーメンの濃厚さとは一線を画し、洗練されたクリアな味わいは、まるで一つの完成された料理を味わっているかのような感動を与えます。
また、旭川の須藤製麺と共同開発したという特注の全粒粉入りストレート麺は、小麦の豊かな香りがスープに負けることなく、心地よい食感と相まって唯一無二のハーモニーを奏でます。
具材には、丁寧に燻製された鴨肉やジューシーな鶏チャーシュー、味付け卵、そして食感の良い山椒風味の極太メンマ、九条ネギなどが彩りを添え、それぞれが計算し尽くされた役割を果たしています。特に、卵の上に添えられた椎茸パウダーや、味噌と昆布で作られた「泡（エアー）」は、スープに溶け込むことで味の変化と深みをもたらし、最後まで飽きさせない工夫が凝らされています。この一杯は、まさに「ラーメン」というジャンルを超えた「新しい料理」として、五感を刺激し、深い満足感を提供してくれます。

場外市場という庶民的な雰囲気の中に突如現れる、デザイナー高原氏による洗練された空間も「とくいち」の魅力の一つです。
ラーメン店とは思えないほどスタイリッシュな外観と内装は、訪れる客に特別な食体験を予感させます。
席に着くと提供される、お湯を注ぐと温かく膨らむおしぼりや、札幌軟石でできた特注のトレイプレートなど、細部にわたるこだわりが随所に感じられ、まさに「おもてなし」の精神が息づいています。定期的に提供される限定ラーメンも、北海道の旬の食材を大胆に取り入れたものや、革新的なアイデアが光るものが多く、訪れるたびに新たな発見と感動を提供してくれます。

「とくいち」は単なるラーメン店ではなく、フレンチとイタリアンのエッセンスを昇華させた、まさに「食べるアート」と言えるでしょう。その革新的なアプローチと繊細な味わいは、ラーメンの新たな可能性を切り拓き、国内外の食通たちを唸らせています。