スイスの首都ベルンに位置する「ベーレングラーベン」は、古くからこの街の象徴である熊が暮らす公園です。
現在は「ベーレンパーク」として生まれ変わり、世界遺産に登録されたベルン旧市街のすぐ隣で、熊たちがのびのびと過ごす姿を間近で見ることができます。
ベルンという街の名前は、ドイツ語で熊を意味する「Bär」に由来するとも言われ、古くから市の紋章にも描かれてきました。
その象徴である熊を飼育する「ベーレングラーベン」の歴史は、なんと1513年にまで遡ります。
かつては堀（Graben）に閉じ込められた環境でしたが、動物福祉の観点から、2009年に広大な敷地を持つ「ベーレンパーク」として生まれ変わったのです。

新しいベーレンパークは、かつての飼育環境とは一線を画しています。
敷地面積は約6,000平方メートルに及び、熊がより自然に近い状態で生活できるよう設計されました。
緑豊かな丘や木々、天然の洞窟、そしてアーレ川へと続く水浴びができる場所まで整備されており、熊たちが生き生きと動き回る姿を観察することができます。
訪問者は、坂道に沿って作られた遊歩道から、様々な角度で熊の生活を見守ることができ、まるでベルン旧市街の延長にある小さな森を散策しているかのようです。

また、ベーレンパークは、ユネスコ世界遺産「ベルン旧市街」の構成資産の一部でもあります。
中世の面影を残す旧市街を散策し、アーレ川に架かる橋を渡ると、目の前に広がるのがこの公園です。
ベルンのシンボルを大切に守りながら、現代の動物福祉の考え方を取り入れたこの場所は、歴史と自然が調和したベルンの魅力を象徴しています。