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春日の静かな通りに佇む石井いり豆店は、1887年創業の長い歴史を受け継ぐ豆菓子の専門店です。浅草で技を磨いた初代・石井増次郎氏がこの地に店を構えて以来、家族で受け継がれてきた手仕事が、今も変わらぬかたちで息づいています。時代が移り変わっても守られてきたのは、豆と丁寧に向き合う姿勢と、昔ながらの「煎り」の技です。
店内に足を踏み入れると、まず目を引くのが「振り網」と呼ばれる大きな豆煎り機です。長い年月を感じさせる佇まいでありながら、現役で使われているその道具からは、この店の歩みが静かに伝わってきます。煎りの工程が始まると、香ばしい香りがふんわりと広がり、思わず足を止めてしまうような心地よさに包まれます。こうした空気感も、この場所ならではの魅力のひとつです。
現在は店主の石井雄貴氏夫妻と四代目のご夫妻が力を合わせ、その日の気温や湿度、豆の状態に合わせて火入れを細かく調整しています。豆はとても繊細で、ほんのわずかな違いが仕上がりに影響するといわれています。そのため、経験に裏打ちされた感覚を頼りに、最適なタイミングを見極めながら丁寧に煎り上げていきます。
たとえば落花生は15〜20分ほどで香ばしく仕上げられ、煎大豆は一晩水に浸したあと、約1時間30分かけてじっくりと火を通していきます。こうした手間を惜しまない工程を重ねることで、豆が持つ自然な甘みやコクが引き出され、ひと口ごとに豊かな風味が広がります。
飾らない素朴な味わいの中に、長年積み重ねられてきた技と心配りが感じられるのも、この店の魅力です。日常のおやつとしてはもちろん、ちょっとした手土産にも選びたくなるやさしい味わいが、訪れる人の記憶にそっと残ります。時間をかけて育まれてきた香ばしさに触れるひとときは、春日の街歩きをより豊かなものにしてくれます。
| 住所 | 東京都文京区西片1-2-7 |
|---|---|
| TEL | 03-3811-2457 |
石井いり豆店(水道橋/和菓子) – Retty(レッティ)ic_export
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