東京で唯一の木造の定席寄席である「新宿末廣亭」と背中合わせの位置にある純喫茶です。
その名の通り、かつて末廣亭の楽屋があった場所に、昭和33年（1958年）に開店しました。
落語界の大立者や、末廣亭の席亭の系譜を継ぐ店主が切り盛りすることで知られ、多くの落語家さんたちが一息つく「文化と歴史が交差する特別な空間」として、落語ファンやレトロ喫茶愛好家から長年愛され続けている名店です。
店の入り口に至る階段には、寄席のポスターがびっしりと貼られ、店内には、寄席の興行に使われる「めくり」や、神輿などの装飾品が飾られています。
メニューが書かれたカラフルな短冊は、五代目柳亭左楽師匠など、落語界の大立者である噺家さんの直筆や、橘右近・左近両師匠による寄席文字で書かれたものだとされており、まさに落語の歴史と文化が凝縮されたアートとなっています。
店主は、末廣亭初代席亭を祖父に、落語界の大立者であった五代目柳亭左楽を曾祖父に持つ、落語界と深い繋がりを持つ人物です。
そのため、店内には多くの落語家さんが常連として訪れ、彼らが一息つく憩いの場となっており、長年親しまれています。
メニュー構成もユニークで、コーヒーなどの定番喫茶メニューに加え、蕎麦、うどん、お餅といった和風の軽食が充実しています。
中でも、「寄席餅」は、二種類の餅を寄せるという意味から先代が名付けた人気の一品で、そのネーミングやレトロな見た目から、若者たちの間で「エモい」と話題になり、これを目当てに訪れるファンも増えています。