熱海で長く愛されてきた洋食レストランが、来宮駅から歩いて15分ほどの場所にあるスコット（新館）です。戦後間もない1946年（昭和21年）に開業して以来、熱海の歴史と共に歩んできた洋食店で、どこか懐かしさを感じるレトロな空間が訪れる人を優しく迎えてくれます。吟味した材料を丁寧に調理する、昔ながらのこだわりの洋食が、ゆったりとした時間の中で味わえます。現在営業されているのは新館ですが、近くには旧館もあり、創業当時からの歴史を感じられる場所となっています。

このお店にしかない特別なエピソードは、長年にわたり多くの著名人、特に文豪たちに愛されてきたという歴史がある点です。志賀直哉や谷崎潤一郎、武者小路実篤といった名だたる文人たちが、熱海滞在中にこの洋食店の味を楽しんだという記録が残っています。初代のシェフは、従軍シェフとしての経験を経て、名だたるホテルや洋食店で腕を磨いた後に、ここ熱海の地でスコットをオープンさせました。その積み重ねた確かな技術と、時代の流れに左右されない料理への真摯な姿勢が、今なお多くの方に支持される理由の一つでしょう。なお、お店ではゆったりと食事の時間を過ごしていただくため、3歳以下のお子様の入店をご遠慮いただいているそうです。また、予約を受け付けていないため、混み合う時間を避けて訪れるのがおすすめです。

数あるメニューの中でも、特に人気を集めているのが、お店の顔ともいえるビーフシチューです。とろとろになるまで丁寧に煮込まれたお肉と、70年以上の長きにわたり代々受け継ぎ、守り続けている濃厚なデミグラスソースが自慢の一品です。時間をかけて丹念に作り上げるソースの深みのある味わいは、まさに洋食店の歴史そのものを感じさせてくれます。この自慢のソースは、他にもハンバーグステーキやミートコロッケなど、様々な洋食メニューのベースとして、お店の味を支えています。

ビーフシチュー以外にも、長年愛され続けているメニューがたくさんあります。厳選されたお肉を絶妙な焼き加減で提供するヒレステーキやサーロインステーキといった本格的なステーキ料理は、特別な日の食事にもぴったりです。また、アワビのコキュールは、新鮮なアワビを使い、コクのあるソースで焼き上げた一品で、海の幸に恵まれた熱海らしい魅力的なメニューと言えます。また、ランチタイムには、オードブルやスープ、メインディッシュにパンまたはライス、デザートとコーヒーまたは紅茶まで付くコースも用意されています。夜にはさらに品数が増えるコースもあり、お店の幅広い洋食を楽しめます。いつの時代も変わらない、手間暇かけた正統派の洋食を、ぜひ味わってください。

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