東銀座に位置する歌舞伎座の地下二階、東京メトロ東銀座駅に直結しているのが、連日多くの人で賑わう歌舞伎座木挽町広場です。歌舞伎座タワーという複合施設の一部として誕生したこの広場は、観劇のお客様はもちろん、観光やショッピングで銀座を訪れる方も気軽に立ち寄れる、憩いのスペースとなっています。現在の歌舞伎座は、1889年（明治22年）に初代が開場して以来、火災や戦災など幾多の困難を乗り越えてきた歴史を持っています。現在の建物は2013年4月に新開場した五代目にあたり、その再建に合わせて、この地下空間も同年の3月1日にオープンしました。歌舞伎座木挽町広場は、新しく生まれ変わった歌舞伎座への入り口のひとつとして、現代的な利便性と日本の伝統文化が調和した空間を演出しています。

この広場の最大の特徴は、劇場の華やかな「異空間」を地下に再現したような、お祭りさながらの活気あふれる雰囲気です。天井から吊り下げられた巨大な提灯は、広場の象徴的な存在として皆様をお迎えし、絶好の記念撮影スポットにもなっています。広場からはエレベーターやエスカレーターで歌舞伎座の正面玄関にスムーズに上がれるため、観劇のお客様にとって大変便利です。また、歌舞伎座タワーを含む五代目歌舞伎座の設計は、著名な建築家である隈研吾氏と三菱地所設計が協働で手掛けており、伝統の桃山様式を継承しつつ、最新の免震構造なども取り入れた、まさに伝統と革新を体現した建物です。この地下広場も、そうした現代的な機能を持った複合施設の中核として、多くの人々が行き交い、エネルギーに満ちた場所となっています。

広場内には、歌舞伎グッズやお土産品、軽食などを扱う店舗が軒を連ね、毎日がお祭りの縁日のように賑わっています。お食事処としては、蕎麦をメインにした茶店風の「歌舞伎茶屋」があり、一日を通して和の味覚を楽しめます。また、観劇の幕間（まくあい）などに欠かせないお弁当やお飲み物を取り揃えたお弁当店「やぐら」もございます。さらに、地下鉄東銀座駅をご利用のお客様に便利な売店「はなみち」では、朝早くから食品雑貨などを販売しており、大変重宝されています。これらの店舗は、観劇のお客様だけでなく、周辺のオフィスワーカーや観光客の方々にも広く利用されています。

数あるお土産品の中でも特に人気なのが、お土産処「かおみせ」などで扱われる、歌舞伎の世界観を取り入れたユニークな商品たちです。例えば、歌舞伎の化粧法である「隈取（くまどり）」をモチーフにしたオリジナルグッズの「くまどり屋一門」ブランドの商品や、歌舞伎座でしか手に入らない限定パッケージのお菓子など、お土産に最適な品々が豊富に並んでいます。また、期間限定で全国各地の伝統工芸品や特産品を紹介する催事も定期的に開催されており、訪れるたびに新しい発見があるのも魅力です。老舗のお菓子屋さんとコラボレーションした歌舞伎座限定 大師巻や、歌舞伎座オリジナルブレンド珈琲ドリップパックといった、ここでしか手に入らない特別な一品を探すのも楽しいひとときです。これらの商品やイベントを通じて、歌舞伎座木挽町広場は、日本の伝統文化と地域色豊かな「ものづくり」の魅力を発信する拠点としての役割も担っています。