藤沢駅の南口から歩いて5分ほどの場所に位置するカフェ パンセは、開店以来、地元の方々に長く愛され続けている喫茶店です。パンセという店名はフランス語で「思索」を意味し、その名の通り、大きな窓から差し込む陽光と、ゆったりとした空間で、誰もがくつろぎのひとときを過ごせる場所になっています。

このお店の特別な魅力は、大きな窓から望む江ノ電の走行風景です。特に窓際のお席は、行き交う江ノ電の車両とクスノキの緑を眺められる特等席で、この風景を楽しみながら、心ゆくまで「思索」にふける時間が流れます。また、マスターが素材を厳選し、丁寧に淹れるコーヒーも格別です。3年以上寝かせ、熟成させた生豆を使ったオールドビーンズコーヒーを、一杯ずつネルドリップで抽出しているのが大きな特徴です。手間を惜しまないことで、酸味が抑えられ、まろやかで深い味わいのコーヒーに仕上がっています。

そして、コーヒーとともに多くの方を惹きつけているのが、ホームメイドのタルトやケーキです。創業当時は数種類だった自家製ケーキは、今では通年で20種類以上がショーケースに並び、季節ごとに旬の素材を取り入れた味を楽しませてくれます。マスターが「カフェのケーキ」として、あえて手の込んだ仕上げはしないと言いますが、素材の持ち味を生かした甘さ控えめのタルトは、特に人気を集めています。ザクザクとした食感が楽しいタルトのほかにも、軽やかな口あたりのシフォンケーキや、濃厚なガトーショコラなど、さまざまなファンを持つメニューが揃っています。

さらに、食事メニューとして人気があるのが自家製キッシュです。しらすのキッシュや帆立を使ったキッシュなど、常時2～3種類が用意されています。調味に使う塩を極力控え、素材本来の旨味を引き出す工夫がされており、注文を受けてから一つひとつ温めて提供されるため、サクサクの生地と、口の中に広がる豊かな具材の味わいが楽しめます。甘いものだけでなく、軽食としても満足感の高いメニューです。このように、カフェ パンセは、香り高いコーヒーと自家製ケーキやキッシュの美味しさに加え、穏やかな時間の流れと、時にジャズやラテンの一流ミュージシャンによるライブが開催されるなど、文化的な要素も持つ、藤沢の街になくてはならない憩いの空間となっています。地元の方はもちろん、レトロな雰囲気に惹かれて訪れる若い女性のお客様も増えています。