秋田県の横手市十文字町で、長く地元の人々に愛されてきた中華そばのお店が、こちらの名代三角そばや 本店です。十文字町は「十文字中華そば」と呼ばれるご当地ラーメンで知られていますが、名代三角そばやはその中でも「御三家」と呼ばれる老舗の一軒として親しまれてきました。お店の歴史は深く、昭和25年（1950年）に創業し、元祖とされるお店の近くで麺の作り方を教わった創業者の佐藤忠孝さんが、独自の焼き干しベースのスープを開発して店を開いたのが始まりとされています。十文字中華そばのルーツは、昭和初期に中国人が作った中華そばを模して始まったものと言われており、戦後の十文字町で行き交う人々の間で屋台の中華そばが庶民の味として浸透していきました。長年親しまれてきた本店は、平成19年（2007年）8月に十文字インターチェンジ近くの現在の場所に移転し、古き良き日本の面影を残す素晴らしい建物で営業を続けています。

現在の本店は、築100年以上の歴史を持つ山形県最上郡金山町の旧地主の邸宅を移築し、再生して作られた店舗です。地元の金山杉を使い、「美しく古びる」ことを目指した「金山型住宅」という様式で建てられた古民家は、一見の価値があると言われるほど大変立派な造りです。店内には店主の方が長年趣味で収集されてきた古美術品の数々が並べられており、まるで美術館のような落ち着いた雰囲気の中で食事を楽しむことができます。多くの方に長く愛されてきた理由は、選りすぐりの食材と、創業当時から変わらない丁寧な手仕事を守り続けていることにあります。特に麺は、数種類の小麦粉をブレンドし、かん水を使わずに極細に仕上げた手揉み自家製麺が特徴です。この麺を熟練の職人さんが一つひとつ手で揉んでコシとちぢれを作り出し、専用の冷蔵庫の中で一週間ほど低温熟成させることで、小麦本来の香りとプリプリとした独特の食感が生まれます。

お店の看板メニューは、やはりあっさりとした和風スープが自慢の三角中華そばです。スープは、青森県陸奥湾産の焼き干しをはじめとする厳選素材をベースに出汁をとり、伝統の醤油ダレをブレンドすることで、澄んで透明感のある、あっさりとした味わいに仕上げています。焼き干しの芳醇な香りと醤油ダレのコクが絶妙に絡み合い、極細のちぢれ麺とよく合います。また、トッピングのメンマもお店の自慢の一品で、短冊に切り揃えられたメンマを4日ほどかけて自家製のダシで丁寧に味付けしているこだわりがあります。夏になると、さっぱりといただける冷やし中華そばがメニューに加わり、常連のお客様にも大変人気があります。チャーシュー、ネギ、自家製メンマ、とろろ昆布など、お好みの具材をのせて楽しむことができ、これらのトッピングがお得なセットになったメニューも人気があります。創業から70年以上経った今も、昔ながらの味を守り続けている名代三角そばや 本店は、十文字を訪れた際にはぜひ立ち寄りたい、心温まる一杯を提供してくれるお店です。

【秘密のケンミンSHOW　秋田　横手　名代三角そばや】めっちゃ熱い秋田ラーメン事情　お麩がたっぷり入った十文字中華そばのお店は？　2019/5/30放送でも紹介