浅草寺や花やしきの賑わいからほど近い場所に、2025年1月に暖簾を掲げたのが「浅草 更科天狐」です。伝統的な日本蕎麦の文化に、現代的な健康志向とモダンな感性を融合させた「シン蕎麦屋」という新しいスタイルを打ち出しているのが大きな特色です。公式の情報によりますと、更科のルーツは享和元年（1801年）の江戸時代に遡るとのことで、初代が武蔵国から江戸へ出て「越後屋助七」を名乗ったという歴史を持つ、由緒正しい流れを受け継いでいます。この長い歴史が培った蕎麦の「粋」を大切にしながらも、従来の蕎麦屋の枠にとらわれない料理と空間で、多くの人々に新たな食体験を提供しています。外観はシンプルな白い三角屋根で、一見すると蕎麦屋とは思えないほどスタイリッシュな佇まいです。店内は木のぬくもりが感じられる和モダンな空間で、一階は料理人の技を間近で見られるオープンキッチンのカウンター席、二階はゆったりとくつろげるテーブル席があり、落ち着いた雰囲気の中で食事を楽しめます。

このお店のコンセプトは「食べると勝手にととのう」というユニークなもので、特に健康と美味しさを両立させる点に強いこだわりがあります。分子栄養学の専門家がメニュー開発を監修しており、グルテンフリーや低糖質など、身体に優しい食材や調理法を積極的に取り入れているのが特徴です。例えば、蕎麦のつゆは一般的なつゆに加え、ラーメンに使われるような濃厚でシルキーな「鶏白湯」と、生姜の香りがさわやかな「鶏しょうが」の2種類の特製スープが用意されており、蕎麦の新たな魅力を引き出しています。また、デザートもグルテンフリーやカゼインフリーを意識した「蕎麦後」というカテゴリーで提供され、食事の最後まで罪悪感なく楽しめる工夫が凝らされています。

蕎麦は、蕎麦打ち名人が監修した本格的なもので、上品なさらしな、のどごしの良い二八、香りが濃い玄挽き（田舎そば）の3種類からお好みのものを選べるようになっています。特に人気の高いお蕎麦のひとつ、定番のせいろそばは、蕎麦粉と粗挽き粉をブレンドした濃厚な蕎麦の風味と、先ほどご紹介した特製のつけ汁との組み合わせが絶妙です。さらに、蕎麦前と呼ばれるおつまみ料理にも独創的なメニューが並びます。

豊富な蕎麦前から、特におすすめしたいのが、厳選された尾崎牛のもも肉を炭火で軽く炙り、濃厚な卵黄と特製の泡醤油と絡めていただく尾崎牛のもも肉炙りユッケです。この泡醤油はたまり醤油をベースとしたグルテンフリーのもので、お肉の旨味を邪魔せず、口の中でふわっと溶ける繊細さが人気を集めています。また、シンプルながらも驚きのある一品が、名物！きつね焼きです。福岡の名店「三原豆腐店」の油揚げを天火でパリッと香ばしく焼き上げたもので、サクサクとした食感と生姜醤油の相性が抜群で、お酒のお供としても最高です。締めくくりには、グルテンフリー、カゼインフリーで楽しめるデザート、あなたの為に握ります！開運一期大福はいかがでしょうか。西荻窪の「越後鶴屋」がお店のために作ったきび糖の餡と求肥で、旬の苺などを目の前で優しく包み込んで仕上げてくれる様子は、ライブ感があって、まさに食事の最後を飾るにふさわしい、心弾むひとときを与えてくれるでしょう。歴史とモダン、健康と美味しさが融合した「浅草 更科天狐」は、浅草の旅の新しい楽しみを見つけてくれるに違いありません。