地元に長年愛され、遠方からもファンが訪れる本格的なフランス菓子のお店、それが西武池袋線石神井公園駅近くにある「ブロンディール」です。オーナーシェフの藤原和彦氏は、高校生の頃に洋菓子作りの世界に魅了されて以来、その道を一筋に歩んできました。日本国内では、特にモンブランが有名な銀座の名店などで修業を重ね、その後はフランスへ渡り、ロレーヌ地方の有名ショコラティエ「オ・パレ・ドール」で腕を磨きました。現地で伝統的なフランス菓子の技術とエスプリを深く体得して帰国し、代官山や南青山のパティスリーで経験を積んだ後、2004年に埼玉県ふじみ野市でブロンディールをオープンさせました。開業から約10年後の2015年、現在の練馬区石神井公園の地に移転し、この地域で確固たる存在感を放っています。都心からは少し離れた立地にもかかわらず、その確かな実力は業界誌や百貨店の催事などでも注目を集め、今や都内でも指折りの人気店として、多くのスイーツファンに愛されています。

お店の最大の魅力は、まるでフランスの街角にあるパティスリーに迷い込んだかのような、異国情緒あふれる空間づくりです。黒とレンガを基調としたシックな外観から、店内に一歩足を踏み入れると、アンティークの小物がセンス良く配され、その世界観に引き込まれます。この内装に使われているアンティークの数々は、藤原シェフがフランスの蚤の市で自ら買い付けてきたものだそうで、細部にまでフランス菓子の美学が徹底して貫かれています。ショーケースには芸術品のように美しい生ケーキが並ぶ一方で、焼き菓子、マカロン、ショコラ、パン、さらにキッシュなどの惣菜系のパイまで、フランスの街のパティスリーらしい豊富な品揃えが目を引きます。店内の奥には、シチリアのアルティザンコーヒー「ミシェラドーロ」などのドリンクと一緒にケーキを楽しめるイートインスペースもあり、ゆったりと特別な時間を過ごすことができます。

豊富なラインナップの中でも特に人気を集めるのは、フランス伝統の味にこだわったケーキたちです。一つは、多くのファンを持つモンブランで、そのホイップクリームの固さとコクに、藤原シェフの深いこだわりが感じられます。また、サクサクとした固めの生地が特徴のシューアラクレームは、注文を受けてからクリームを詰めてくれるスタイルで、出来立ての食感と、なめらかで風味豊かなクリームのコントラストがたまりません。目にも鮮やかなデリスピスターシュも人気の品で、シェフの素材へのこだわりが凝縮されています。特にピスタチオは、皮付きのままイタリアから輸入し、店で自ら焙煎しているほどで、その手間ひまかけた高い質感こそが、味わいをさらに深めているのです。この他にも、層の美しさが際立つミルフィーユや、ほろ苦いキャラメリゼが印象的なサンマルクなど、クラシックなフランス菓子が並び、どれもが確かな技術に裏打ちされた唯一無二の美味しさを楽しませてくれます。