香川県三豊市（みとよし）の豊かな自然に抱かれた静かな集落にある、1日1組限定の貸し切りのお宿です。
穏やかな瀬戸内海での暮らしを求め、2017年の夏に岐阜県から移住されたご夫婦が、この地で出会った伝統的な日本家屋を自らリノベーションし、旅の宿として生まれ変わらせました。建物の形は、香川県の西讃地域に古くから伝わる平屋造りの「やつお」という様式を活かしており、どこか懐かしい、実家に帰ったような心安らぐ雰囲気が漂っています。移住者というニュートラルな視点から、この地域のありのままの魅力を伝えていきたい、という思いが宿のおもてなしの根っこにあります。

旅宿の名前である咄々々（とつとつとつ）は、口に出るという意味を持つ「咄」の漢字を三つ重ねた禅語が由来になっています。これは、驚きや、くやしがり、舌打ちや声を発する様子を表す言葉で、千利休が茶会で客人を驚かせ楽しませたように、「一期一会」の出会いを大切にし、お客様をもてなしたいというご夫婦の願いが込められています。お部屋は、瀬戸内海の夜明けや日没時に空が青く染まる瞬間をイメージした洋室の蒼の部屋と、その対照的な夕焼けの赤をイメージした和室の朱の部屋の二つからお選びいただけます。どちらも旅の疲れを優しく癒してくれる、落ち着いた雰囲気の寝室となっています。さらに、この宿は三豊の絶景スポットへのアクセスも良く、「日本のウユニ塩湖」として知られる父母ヶ浜（ちちぶがはま）までは車でおよそ10分、「天空の鳥居」として人気の高屋神社までは車でおよそ15分と、観光の拠点としても最適です。

この宿の大きな魅力は、「里のオーベルジュ」という別名を持つほどに、お食事に強いこだわりがある点です。ご主人の志郎さんは建築のお仕事から、奥様の夏子さんは岐阜でカフェを営んでいた経験があり、その知恵と技が料理に活かされています。夕食には、地域の旬の海の幸と山の幸、そして宿の自家農園で育てられた「畑の野菜」をたっぷり使ったコース仕立ての洋食または和食をお選びいただけます。地元で大切に育まれた新鮮な食材をできる限り使い、手間を惜しまずに作られる心尽くしのお料理は、三豊という土地の恵みを感じさせてくれるでしょう。

朝食には、自家製のパンや、自家農園の野菜を活かした洋食が並びます。このパンは、独学でパン作りを学ばれたご主人が手作りしているもので、味わい深いオープンサンドなどで楽しむことができます。また、奥様が20年以上製造・販売を続ける自家焙煎珈琲HAKO珈琲は、香り豊かで朝のひとときをより豊かなものにしてくれます。ドレッシングやマスタード、コンフィチュール、味噌といった調味料まで自家製にこだわる姿勢が、この宿ならではの安心感と特別な美味しさを生み出しています。自然の中での体験も大切にしており、2024年の秋からは、折り畳み自転車を使ったガイドツアーやトレッキングツアーといった新しい取り組み、も始まっており、瀬戸内の魅力をさらに深く味わうことができます。