千葉県千葉市若葉区の自然豊かなエリアに店を構える「中華そば 亀喜屋」は、遠方からも多くのお客さまが訪れる人気の中華そば屋さんです。お店がオープンしたのは2016年3月のことで、それ以前から千葉市作草部で評判を集めていた人気ラーメン店「麺処まるわ」の店主である石井貴啓さんが、ご自身が本当に作りたい味を求めて新たに立ち上げられたお店として知られています。石井店主は、幼い頃から慣れ親しんだという外房の名店「出雲屋」の味に敬意を払い、そのノスタルジックな味わいを現代に通用する一杯としてオマージュした中華そばを生み出しました。元々のお店である「麺処まるわ」では、学生さんなど若いお客さまの好みに合わせて流行の味を取り入れていたそうですが、こちらの「中華そば 亀喜屋」では、採算度外視で自分の理想を追求し、渾身の一杯を提供していらっしゃいます。

「中華そば 亀喜屋」の最大の特徴は、手間を惜しまず仕込まれた深みのあるスープの味わいです。スープの土台には、外房の名店「出雲屋」で使われていた鯖節と宗田節を主役に据え、昆布でさらに旨味を補った魚介出汁を使っています。これに動物系の出汁を合わせるのが亀喜屋流で、錦爽鶏のガラやモミジ、豚のゲンコツ、豚足、背脂などをじっくりと煮込んだ動物系出汁を別に仕込み、魚介出汁の骨格を支えるという、まさにギミックに満ちた二重構造のスープが完成しています。さらに驚くのは、その隠し味にパイナップルを使っていることで、この斬新な発想によって、スープに重層的な旨味が生まれ、奥深い味わいを作り出しています。また、一杯の丼の中で味の変化を楽しめる工夫も随所に見られます。麺や具材と一緒に盛り付けられているのは、細く切られた棒状の生姜です。一般的なおろし生姜とは違い、溶けにくいように棒状にカットされているのは、お客さまに最初はその純粋なスープの味を堪能してほしいという店主の細やかな心配りからだそうです。この生姜を時折口に運ぶと、舌に残ったスープの旨味や油分が一度リセットされ、またスープを飲み、麺を啜りたくなるという、素晴らしい組み合わせの妙を体験できます。

多くのお客さまが「亀喜屋」の看板メニューとして注文されるのがワンタン麺です。このワンタン麺は、トゥルンとなめらかな皮の食感が心地よく、餡がしっかりと詰まったワンタンが珠玉の美味しさだと評判です。また、しっかりと味付けされた大判のチャーシューも存在感があり、浅草開化楼の力強い太麺と共に、満足感の高い一杯を作り上げています。メニューには、基本となる中華そばの他、ボリューム満点のちゃあしゅう麺も人気があります。このちゃあしゅう麺には、特大サイズの絶品チャーシューが三枚も入っていて、肉好きにはたまらない一品です。

さらに、お店では醤油味のラーメン以外にも、麺類として味噌らぁめんやつけそば、そして油そばも提供されていて、いずれも熱心なファンがいる人気メニューです。特に味噌らぁめんは、見た目以上に重さを感じない飲みやすい味噌スープが特徴で、味噌の風味がしっかりと感じられる仕上がりになっています。具材としてニラやモヤシ、刻み玉ネギが入っていて、玉ネギの食感と風味が良いアクセントになっています。一方のつけそばは、魚介出汁の旨みが効いた飽きのこない味わいが素晴らしく、太麺との相性も抜群です。いずれのメニューも、大盛りまで用意されていて、麺量も並で160g、中で240gとしっかりとした量がありますので、お腹を空かせて訪れたいですね。お店は千葉都市モノレールの千城台駅から車で約10分ほどの、少しアクセスしにくい場所にありますが、駐車場は25台分用意されています。しかし、人気店ゆえに駐車場が満車になることも多く、また、スープがなくなり次第閉店となりますので、早めの時間帯に訪問することをおすすめいたします。多くの方に愛される「中華そば 亀喜屋」の、細部にまでこだわりが詰まった一杯を、ぜひ味わってみてください。