西武新宿線の野方駅から歩いてすぐ、長年この街で地域の方に親しまれてきた洋食と喫茶のお店が星の隠れ家です。そのロマンチックな店名とは裏腹に、店内はコンクリート打ちっぱなしの壁と高い天井が印象的な、少しクールで大人な雰囲気が広がっています。看板はダークグリーンで、どこかファンシーな要素も見え隠れしますが、内装との絶妙なギャップが星の隠れ家の持つユニークな魅力となっています。お店の基本は「当たり前のものを当たり前に作る」というもので、日々の丁寧な手仕事が、訪れる人々に変わらない安心感を与え続けています。

このお店の大きな特徴は、耳に心地よく響く音楽と、お店の看板犬の存在です。店内ではジャズのアナログレコードを中心に、クラシックなど、お客様の過ごす時間に合わせた音楽が選曲されています。単にBGMとして流れるだけでなく、定期的にジャズライブも開かれ、食やお茶の時間がより一層楽しいものになるように工夫が凝らされています。また、星の隠れ家では、愛らしい看板犬のキット君がお客様を出迎えてくれることもあり、まるで隠れ家のような落ち着いた空間に、温かい癒しを添えてくれます。壁にはモノクロの写真や名画のプリント、映画のポスターに加えて、トランペットやサックスなどの楽器が飾られており、音楽と芸術を愛するマスターのこだわりを感じられます。

星の隠れ家は卵料理を中心にしたメニュー構成が特徴的ですが、野菜を美味しく食べてもらうための工夫も大切にしています。その日の仕入れによって毎日内容が変わる平日ランチは、訪れるたびに新しい発見がある人気の品です。この日替わりのメニューは、オーナーのその日の気分で決まるという遊び心もあり、お客様を楽しませる工夫の一つになっています。洋食をメインに据えながらも、和風の付け合わせを添えるなど、ジャンルにとらわれずにお客様に喜んでもらうことを考えて作られています。

日替わりランチでは、たとえば豚肉のソテーラタトウユのせをメインに、厚揚と蕗の煮物やサラダスパゲッティといった、洋食と和風のおかずが組み合わされた家庭的な定食スタイルで提供されます。様々な食材をバランスよく盛り込んだ料理は、ボリュームがありながらもヘルシーで、栄養面にも配慮されていることが伝わってきます。また、食後の飲み物として付いてくるのは、お口直しにぴったりのサイズのデミタスコーヒーです。苦味の中にほのかな酸味を覗かせる深い味わいが、食事の締めくくりを静かに彩ります。長年、野方という土地で愛され続けてきた星の隠れ家は、美味しい食事と心地よい音楽、そして温かいおもてなしが詰まった、まさに都会の中の隠れ家のような場所です。