高山本線高山駅から歩いて10分ほどのところ、朝日町の一角に、地元の皆さんに長年愛されている居酒屋「一茶」があります。飛騨高山の夜を締めくくる店として知られ、地元の方々が宴会の後に必ず行き着く場所、いわば「聖地」のような存在として親しまれています。高山の街では珍しく夜遅い時間帯から営業を始め、普段は21時30分過ぎから開店し、深夜1時頃まで、お腹を空かせた人々の胃袋を満たし続けています。

このお店の最大の魅力は、なんといってもその温かく居心地の良い空気感です。店内に広がるのは、常連客の笑い声と、お酒が進むほどに弾む店主と客の会話のやりとりです。カウンター席で隣り合った地元の方と旅人との間に、ふとした一期一会の交流が生まれるのも、このお店ならではの素敵なエピソードかもしれません。

メニューは、店名にも掲げられている通り、心に染みわたる「お茶漬け」が看板です。飲んだ後のシメにぴったりの、胃にやさしいお茶漬けを目当てに訪れるお客様も多いようです。また、深い時間帯の酒に合うよう工夫された料理が豊富に用意されており、高山ならではの「ソウルフード」や地元の美味しい地酒を、気兼ねなく楽しめるお店としても評判です。

数あるメニューの中でも、高山の郷土料理を感じられる一品として人気なのが、豆腐ステーキです。地元の方々の間では「漬けステ」という愛称で親しまれ、注文する際には略称が飛び交うほど馴染み深いメニューとなっています。しっかりと味が染み込んだ豆腐が鉄板でジュワッと焼かれ、うま味がぎゅっと詰まった高山らしい味わいは、初めて訪れる旅人にもおすすめの一品です。その他にも、飛騨の食材を使った一品料理や、高山の地酒が豊富に揃っており、お酒好きの方にも満足していただける品揃えです。一茶は、高山という土地の食文化と人の温かさを肌で感じられる、かけがえのないお店です。ぜひ、飛騨高山の旅の夜を締めくくるひとときを、この温かいカウンターで過ごしてみてはいかがでしょうか。