埼玉県越谷市で、農薬や化学肥料を使わずに、安心・安全な野菜を育てているのが遊佐農場と、その直営の自然食品店です。代表の遊佐謙司さんは、長年勤めた会社を辞めて2016年に就農され、越谷の地で農業を始められました。越谷の恵まれた土地を活かし、種まきから種採りまでを一貫して行う「循環農業」を実践されています。そのおいしいお野菜を直接購入できる直営店は、越谷市の旧日光街道沿いにある古民家施設「はかり屋」の中にあります。2020年3月の開業以来、地域の方々との交流を大切にしながら、自家栽培の野菜やオリジナル加工品、厳選されたオーガニック食品を届け続けています。

遊佐農場の最大の特徴は、地域に根差した循環型の「都市農業」を目指していることです。一般的に多くの農家さんが毎年購入する海外の種に頼らず、この土地に伝わる固定種を中心に使用し、実から採れた種をまた翌年の畑に戻すという、手間暇をかけた自家採種の取り組みを続けています。これにより、越谷の風土に合った、力強い生命力を持った野菜が育つのです。また、単に野菜を作るだけでなく、農業を学びたい方をサポートする活動にも積極的で、農家入門プログラムである「越谷循環農業塾」や、初心者向けの「やさいづくり教室」といった講習付き貸農園を運営しています。土に触れた経験のない方でも、野菜の育て方や道具の使い方を農家さんから直接教わりながら、安心して農業を楽しめる機会を提供しています。

直営店や宅配サービスで特に人気なのは、畑で収穫されたばかりの新鮮な旬の**無農薬野菜**です。土から生まれる恵みをそのまま味わえる採れたての野菜は、その時期ならではの豊かな風味と力強い味わいが魅力です。また、自家栽培の野菜だけでなく、体に優しい有機栽培の果物や、お米、厳選された調味料、乾物なども幅広く揃えている自然食品店としての側面も持ち合わせています。季節によって様々なおいしさに出会えるのが嬉しいところです。

遊佐農場で栽培された農作物を使ったオリジナル加工品もぜひ注目したい品々です。特に、素材の味を活かしたこだわりの**ドレッシング**は、無農薬野菜のおいしさをさらに引き立てるものとして評判です。他にも、自家栽培の麦を加工した**麦茶**や、健康志向の方にも人気の**丸麦**や**押し麦**、そして季節の野菜を使った**マリネ**などの加工品も製造しています。さらに、越谷産の無農薬栽培米の玄米生麹を使った**味噌づくり教室**を定期的に開催するなど、畑の恵みを長く楽しめるような取り組みをされています。秋には畑で**さつま芋掘り**、冬には**餅つき**といった体験型イベントも恒例になっており、家族連れや地域の方が集い、農業の楽しさや食の大切さを実感できる場にもなっています。栽培から加工、そして地域との交流まで、越谷の地で「食」と「農」の循環を豊かに育んでいる素敵な農場です。