JR成田駅または京成成田駅から歩いてすぐ、成田山新勝寺へと続く表参道に位置する米分（よねぶん）は、大正8年（1919年）に創業された歴史ある和菓子屋さんです。米分は、成田山の門前町で長く愛され、参拝のお土産としてはもちろん、地元の皆様の郷土の味として親しまれてきました。主力となるのは、もちもちとした食感と素朴な甘さが魅力の「栗蒸ようかん」で、その元祖として知られています。創業から百余年、伝統の製法を守り続けながら、成田山の御用達としても信頼を集めるお店です。

米分の歴史は、成田山新勝寺の精進料理として供されていた「蒸ようかん」にさかのぼります。初代である常吉氏は、この伝統的な蒸ようかんをもとに、大正八年に成田山参道で初めて栗の入った「栗蒸ようかん」を考案し、販売を始めました。これが、今では成田名物の一つとなっている栗蒸ようかんの元祖といわれています。創業以来、「塩辛ず、甘すぎず 柔らかならず、堅からず。」という信条を掲げ、素材の持ち味を活かした素朴で奥深い味わいを守り続けていることも、多くの方に愛される理由の一つです。また、米分は2009年にセットバック事業によって店舗をリニューアルされ、明るく洗練された和モダンな装いとなりました。この新しい店舗には、落ち着いた雰囲気のティールームも併設されており、訪れた方が庭の景色を眺めながら、ゆったりと甘味を楽しめる空間が提供されています。

特に人気を集めているお菓子の一つに、特製の栗蒸ようかんこよねがございます。このお菓子は、厳選された小豆と栗に、奥能登の揚げ浜塩をはじめとする選び抜かれた塩を加えることで、小豆と栗の旨みをさらに引き立てています。職人さんが一本一本手作業で丁寧に蒸し上げ、秘伝の羊羹生地と栗が絶妙なバランスで仕上がったこよねは、一口食べるとその独特な「もちもち」とした食感に驚かれる方も多いそうです。この「生」の栗蒸ようかんならではの口当たりと、甘さを抑えながらも塩味がきいた上品な味わいは、米分でしか味わえない格別な一品として、お客様に大変喜ばれています。

お土産やご自宅用のお菓子として、米分では他にも魅力的な和菓子が揃っています。特製もなかの栗つぶらは、見た目も可愛らしく、餡の風味と栗の歯ごたえが楽しめる人気商品です。また、季節ごとに趣向を凝らした上生菓子も店頭に並び、日本の四季の美しさを感じさせてくれます。さらに、ティールームでは、お店自慢の餡を使った白玉ぜんざいや、加賀棒茶など、お茶うけにぴったりな品々もご用意されており、参道散策の休憩に立ち寄るのにもぴったりです。羊羹や最中の他にも、お店のおすすめのお煎餅や成田のお漬物、日本の伝統的な雑貨なども取り扱っていますので、様々なお土産を探す楽しみがあります。伝統と新しい感性が融合した米分で、成田の和の味を心ゆくまでご堪能ください。