二条駅「増田商店(マスダショウテン)」
京都三条会商店街で靴下や肌着などを扱いながら、週末を中心に名物の角煮包を作る、ちょっと意外な組み合わせの店です。増田商店は京都市中京区西ノ京池ノ内町に店を構え、JR・地下鉄の二条駅から歩いて立ち寄れる場所にあります。本業は靴下を中心とした生活衣料の販売で、肌着やパジャマ、エプロン、タオルなど、毎日の暮らしに身近な品を扱っています。そんな店の前にせいろが登場し、湯気とともに中華の味が並ぶようになったのは2013年からです。
増田商店の角煮包には、三条会商店街で長く親しまれていた中華惣菜店「富三油」の味を受け継いだ物語があります。富三油が店を閉じる際、商店街のイベントで角煮包を蒸す手伝いをしたこともあった増田商店の店主・増田善幸さんに、作り方を引き継ぐ話が持ちかけられました。増田さんは約4カ月にわたって作り方を学び、店の奥を厨房へ改装。2013年3月から角煮包を作り始め、翌2014年には富三油の看板商品のひとつだった焼売も加わりました。単に名前だけを引き継いだのではなく、調理道具も富三油から譲り受けたというから、この店の一品には商店街の味を次の世代へ残す役割も込められています。
さらに印象的なのが、受け継いだ味をできるだけ変えないという姿勢です。増田さんは、富三油の味を忠実に守ることを大切にしながら仕込みを続けてきました。取材時には、木曜日に角煮を仕込み、金曜日に玉ねぎを炒め、土曜日の朝から生地を作って具を包むという流れが紹介されています。富三油から受け継ぐ際には、味を定期的に確認してもらうことも約束のひとつだったそうです。衣料品店の一角で作られているとは思えないほど手間をかけ、かつて隣の店で親しまれた味を守っていることが、増田商店ならではの背景です。
主役の角煮包は、豚の角煮をやわらかな生地で包んで蒸し上げる中華まんです。商店街の公式情報では、とろりとした食感の角煮がたっぷり入った一品として紹介されています。店先のせいろから立ち上る湯気も、この店らしい光景のひとつ。もともと富三油を知る人にとっては懐かしい味であり、初めて訪れる人には「靴下屋さんで中華まん」という意外性から興味をそそられる名物です。
もうひとつ受け継がれた焼売も見逃せません。こちらも富三油で親しまれていた料理で、角煮包に続いて販売が始まりました。現在の商店街公式案内では角煮包と焼売は土・日・祝日の店頭販売とされていますが、過去には季節によって販売曜日が異なっていた記録も残っています。売り切れなども考えられるため、これらを目当てに出かける際は当日の販売状況を確認しておくと安心です。京都らしい寺社や町家とはまた違い、商店街で人から人へと受け渡されてきた「町の味」に出会える増田商店。三条会商店街を歩くなら、衣料品店の前から立ち上るせいろの湯気を探してみたくなる一軒です。
- 角煮包 280円
| 住所 | 京都府京都市中京区西ノ京池ノ内町6-6 |
|---|---|
| 電話 | 075-841-8000 |
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