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東京都世田谷区の下北沢にある「茄子おやじ」は、1990年4月に創業したカレー専門店です。数多くのカレー店が集まる下北沢で、街が「カレーの街」と呼ばれるようになる以前から親しまれてきました。下北沢駅から徒歩約4分、南口商店街から少し入った路地に店を構え、白い看板に書かれた「なすおやじ」の文字が目印です。創業者の阿部孝明さんは、吉祥寺のカレー店「まめ蔵」の立ち上げにも携わった人物。2017年1月には、2012年からスタッフとして働いていた西村伸也さんが2代目店主となり、創業以来の味と店の雰囲気を受け継いでいます。
「下北とカレーとコーヒー」をコンセプトに掲げる「茄子おやじ」の魅力は、じっくりと時間をかけて作るカレーと、音楽に包まれた居心地のよい空間です。カレーのルーには、約10時間かけて煮込んだ大量の玉ねぎを使用。野菜の甘みとコクを引き出し、季節に合わせて配合を調整するスパイスで奥行きのある味に仕上げています。西村さんは先代が築いた味の基本を大切にしながら、スパイスや具材の配合を少しずつ見直し、やさしい甘みを加えました。目指しているのは、家庭で食べたカレーを思い出すような、どこか懐かしく親しみやすい味わいです。
看板メニューは、店で最も人気の高い「スペシャルカレー」です。チキン、ビーフ、野菜、ゆで卵を組み合わせた、具だくさんのひと皿。肉の旨みと野菜の甘みがスパイスの香りに重なり、店のカレーの特徴を存分に楽しめます。じっくり煮込んだルーは深い色合いで、口に運ぶと最初にまろやかな甘みが広がり、その後からスパイスの風味が感じられます。辛さだけを追求するのではなく、コクと甘みの調和を大切にしているところが特徴です。
ほかにも、鶏肉の旨みを楽しむ「ちきんカレー」、牛肉のコクがルーによくなじむ「びーふカレー」、野菜をたっぷり味わえる「やさいカレー」がそろっています。平日限定の「きのこカレー」もあり、その日の気分に合わせて選べるのもうれしいところ。創業当初から基本となるメニューを大きく変えず、長く親しまれてきたカレーを丁寧に作り続けています。
店内に足を踏み入れると、木のぬくもりを感じる落ち着いた空間が広がります。棚には西村さんが集めたレコードが並び、こだわりのオーディオから心地よい音楽が流れています。西村さんは宮崎県出身で、音楽活動のために上京した経歴の持ち主。店を引き継いでからはオーディオ設備を一新し、レコードの音を楽しみながらカレーを味わえる場所へと育ててきました。ミュージシャンやクリエイターも集う店内には、古着屋やライブハウス、レコード店が軒を連ねる下北沢らしい文化が息づいています。
カレーを食べた後は、コーヒーを飲みながらゆっくりと過ごすのも楽しみ方のひとつです。店内に流れる音楽に耳を傾けていると、街のにぎわいから少し離れた穏やかな時間を感じられます。駅周辺の再開発が進み、街の風景が変わっても、変わらず大切にされてきた味と居心地のよさ。「茄子おやじ」は、下北沢のカレー文化と音楽文化を一緒に味わえる、街の歴史に深く根ざしたカレー食堂です。
| 住所 | 東京都世田谷区代沢5-36-8 アルファビル 1F |
|---|---|
| 電話 | 03-3411-7035 |