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越前海岸の海の幸と、古民家で過ごす静かな時間を一緒に楽しめる料理旅館です。越前町厨の海沿いで営む料理宿やまざきは、大正元年に創業し、現在は5代目へと受け継がれています。かつては鉄筋コンクリート造の宿でしたが、先代が思い描いた「木のぬくもりを感じられる宿」を形にするため、2007年に加賀近郊の築100年以上の古民家を移築して再生しました。太い柱や梁を生かした建物には長い年月を重ねた木造家屋ならではの落ち着きがあり、庭の松や百日紅、浴槽に使われている大きな石まで古民家とともに移されています。こうした再生の取り組みは評価され、2010年度にはグッドデザイン賞を受賞しました。
宿の大きな魅力は、建物だけでなく「料理宿」の名にふさわしい魚介の仕入れにあります。主人は越前町で行われる競りに参加できる権利を持ち、仲買や魚屋を介さず、自ら魚を見極めて仕入れています。定置網漁や底引網漁、イカ釣り漁などが盛んな越前の土地柄を生かし、春から秋には、その日に水揚げされた魚を中心に旬のお刺身、焼き物、揚げ物など8~10品ほどで夕食を組み立てています。朝には地元の魚を使った漁師さんの朝ごはんを宿らしく仕立て、4月~5月と9月~10月にはあんこう鍋も登場します。季節や漁の状況によって魚が変わるため、「その日に越前の海から届いたものを食べる」という楽しみがある宿です。
冬になると、料理の主役は越前がにへと替わります。宿で扱うのは黄色いブランドタグが付いた越前がにで、主人が競りで仕入れたものを食事の時間に合わせて特製の窯で茹で上げるのが大きな特徴です。茹でたて越前がにだけでなく、香ばしい焼きがに、身の繊維が花のように開くかに刺し、出汁にくぐらせるかにしゃぶなど、温度や調理法を変えながら味わえます。さらに朝食ではかに鍋からかに雑炊へと続き、越前の冬を食事全体で楽しめる内容になっています。越前和紙で包んで旨みや香りを閉じ込める越前がにの和紙奉書焼も、料理宿らしいひと品として紹介されています。
古民家の空間にも少しずつ手が加えられています。2024年には大広間を食事処利休 Rikyuとして整えました。天井を渡る力強い丸太梁を残し、栗材の大きなテーブルと北欧のアンティークチェアを合わせた空間です。この広間は移築前には囲炉裏を囲んで人々が食事をしていた場所で、その役割を現代の食事処へつないでいるところも印象的です。同年には81㎡の特別室くちなし Kuchinashiも新しく整えられ、古民家らしい木組みを残しながら、現代の旅に合った過ごしやすさが加えられました。
客室は全5室という小さな宿で、そのうち4室から海を望めます。館内では越前厨温泉の湯も楽しめ、障子を思わせる窓の向こうに日本海を眺められる浴場も設けられています。なお、小学生以下は宿泊できないため、家族旅行で訪れる際には注意が必要です。また、公共交通機関を利用する場合は路線バスの運行本数が少ないため、事前に時刻を確認しておくと安心です。古い家を単に宿泊施設として残すのではなく、越前の魚を味わう場所として新しい時間を重ねている料理宿やまざき。越前がにを目当てにした冬の旅はもちろん、その日に揚がった魚との出会いを楽しむ春から秋にも、この宿ならではの魅力があります。
| 住所 | 福井県丹生郡越前町厨16-53-1 |
|---|---|
| 電話 | 0778-37-1016 |
www.yamazaki-r.co.jp…

料理宿やまざき 加賀から古民家を越前海岸へ移築・再生した、全6室の料理宿