千葉県の木更津駅から歩いてすぐの場所に、長きにわたり地元の人々に愛されてきた食堂があります。それが森田屋 本店です。創業は1868年。慶応4年、すなわち明治の幕開けと同じ年に暖簾を掲げたという記録が残る、大変歴史あるお店です。150年以上の歴史を持つ老舗として、元はお蕎麦屋さんとして親しまれてきましたが、時代の流れとともにメニューを増やし、現在ではお蕎麦やうどんを軸に、中華、洋食、丼物まで幅広く取りそろえる総合的な食堂として営業されています。

お店を訪れると、まずはそのレトロで懐かしい雰囲気に心惹かれます。森田屋 本店の佇まいは、まるで時間が止まったかのよう。木枠の引き戸や年季の入ったショーケースなど、昭和の時代から愛され続けてきた食堂の趣を今に伝えています。近年、駅周辺の再開発が進む木更津の街において、昔ながらの風景を色濃く残す貴重な一角です。この歴史ある空間で、家族三代にわたって通う常連さんもいるそうで、地域住民の生活に深く根差していることがうかがえます。メニューの豊富さも特筆すべき点で、お蕎麦屋さんの出汁が効いたカレー南ばんや鍋やきうどん、昔ながらのラーメンやチャーハン、さらにはオムライスやドライカレーといった洋食まで、その日の気分に合わせて選べる楽しさも、このお店ならではの大きな魅力となっています。

多彩なメニューの中で、麺類好きの方に人気なのが、昔ながらの中華そばラーメンです。シンプルながらも飽きのこない味わいで、どこか和の雰囲気を感じさせる醤油スープが特徴です。油分が控えめで、あっさりとしていながらも、しっかりと旨みが感じられるスープは、老若男女問わず親しみやすい奥深さを持っています。具材には、チャーシューやナルト、ほうれん草、ネギが添えられ、そのビジュアルもまた昭和の食堂が提供していた正統派のラーメン像を留めています。地元で長く愛され続ける、ほっとする一杯です。

また、お蕎麦屋さんでありながら食堂として多角的なメニューを提供する森田屋 本店では、丼物にも定評があります。特に名物として知られるのがカツ丼で、甘辛い特製のタレがたっぷりと染み込んだ肉厚なカツを、ふんわりとした卵でとじた、ボリューム満点の一品です。古くからの常連客には、このカツ丼の大盛りを注文する方もいると言われています。そして、洋食も見逃せません。昔懐かしい味わいのオムライスは、しっかりと炒められたご飯が薄焼きの卵で包まれ、多くのお客様に愛されています。さらに、香ばしくスパイシーな香りが食欲をそそるドライカレーも人気です。豚肉や玉ねぎ、人参などの具材が細かく刻まれ、ご飯と一体となって炒め上げられた、これもまた昭和の味を思わせる一皿です。歴史と温かさがあふれる森田屋 本店は、木更津の街の歴史を感じながら、心ゆくまで食事を楽しめる場所となっています