広島の街の中心、基町にある商業施設「HiroPa」の1階にあります「MAGICISLAND out fit style」は、今話題のSUP（スタンドアップパドルボード）を体験できるアーバンアウトドアフィットネスの拠点です。このお店は、広島で長年アクション系スポーツショップとして親しまれてきた「MAGICISLAND」が運営する施設で、街の中心部という便利な立地で水上アクティビティを楽しめる場所として知られています。母体となる「MAGICISLAND」は、1992年に平和大通りでウィンドサーフィンとスノーボードの物販とスクールを始めたのがルーツで、2011年にSUPをラインナップに加え、2013年にはSUPのさらなる普及を目指して店舗を移転するなど、広島のアクションスポーツシーンを牽引してきました。

「MAGICISLAND out fit style」という名前は、フィジーにあるサーフィンの聖地としても有名な小さな島「ナモツ」に由来しているそうです。そこは素晴らしい波や風が保証されている、夢のような場所。その名に込められたように、訪れる人たちが自然に触れ合うスポーツを通して、エネルギーや、たくさんの出会い、喜び、楽しさを感じられるハブでありたいという想いが込められています。また、プロのインストラクターの方が在籍しているので、初心者の方や女性の方でも安心・安全にSUPを体験することができます。

このスポットならではの最大の特徴は、広島が誇る世界遺産を水上から眺める特別なツアーに参加できることです。代表的なのが、世界遺産原爆ドームツアーです。広島のシンボル的な存在である原爆ドームを川面からゆっくりと巡るこのツアーは、陸上から見るのとはまた違う、特別な視点から歴史を感じられる貴重な体験です。また、少し足を伸ばして瀬戸内海の穏やかな自然を味わう世界遺産宮島ツアーも人気を集めています。こちらでは、海の上から朱塗りの大鳥居を拝むことができ、開放感あふれる水上散歩を楽しめます。

初めてSUPに挑戦する方には、約2時間30分で気軽にSUPの楽しさを知ることができるちょこっと体験ツアーがおすすめです。広島の街の中心にある川辺の公共空間をフィールドに活動しており、代表の方は日本スタンドアップパドルボード協会の理事も務めるなど、安全に楽しむための普及活動に尽力されています。さらに、国内で初めて民間として川辺の公共空間の占有利用を始め、イベントを開催するなど、水辺をとおして街の魅力を高める活動にも積極的です。アクティビティに必要なウェアやアパレル、メンテナンスアイテムも取り扱うショップが併設されていますので、体験後にはお気に入りのアイテムを探してみるのも楽しいかもしれません。

瀬戸内の美しい海辺に佇む、建築とアートが溶け合う新しいスタイルの美術館です。下瀬美術館は、広島市に本社を置く建築資材の総合メーカー、丸井産業株式会社の代表取締役である下瀬ゆみ子氏とその両親が、半世紀以上をかけて大切に集めてきた約500点のコレクションを公開するため、2023年3月に広島県大竹市で開館しました。コンセプトとして「アートの中でアートを観る。」を掲げ、美術品を鑑賞するだけでなく、建物や庭園を含めた敷地全体をひとつのアート空間として楽しむことができるのが大きな特徴です。この美術館は、複合施設SIMOSE ART GARDEN VILLAの一部として、宿泊施設やフレンチレストランも併設しており、アートと自然、食、そして滞在を通して五感を揺さぶる特別な体験を提供しています。

美術館の設計を手がけたのは、世界的に著名な建築家である坂茂氏です。坂茂氏の建築は、自然との調和と革新的な技術で知られていますが、下瀬美術館はその思想を強く体現しています。特に目を引くのが、瀬戸内海の多島美から着想を得て設計された、水盤に並ぶ8棟のカラフルなキューブ型の可動展示室です。これは、広島の造船技術を生かし、水の浮力によって配置を自由に変えられる世界でも類を見ないユニークな展示空間です。また、美術館の主要な建物群は、長さ190メートルにも及ぶミラーガラスのスクリーンで覆われており、周囲の風景がガラスに映り込むことで、建築の存在感がやわらげられ、瀬戸内の自然の中に溶け込んでいるように見えます。この独創的で美しい建築は、開館から間もない2024年にユネスコ主催の「ベルサイユ賞」で“世界で最も美しい美術館”に選ばれるという快挙を成し遂げ、国内外から大きな注目を集めています。エントランス棟には、坂茂氏の代名詞ともいえる、ヒノキ集成材の梁が放射状に広がる傘型の構造が採用されており、訪れる人を清々しい開放感で迎えてくれます。なお、施設内のロゴやサインは、グラフィックデザイナーの原研哉氏が担当しており、細部にわたるデザインも優雅な空間を演出しています。

収蔵されているコレクションは、ジャンルや時代を超えた約500点に及び、その多様性も魅力のひとつです。中心となるのは、下瀬家が子どもの成長と平和を願い収集した、京都の大木平藏の雛人形や雛道具などの日本工芸品です。また、西洋美術工芸品の中では、アール・ヌーヴォーの巨匠であるエミール・ガレのガラス作品や家具が大きな位置を占めています。自然をモチーフとしたエミール・ガレの優美な作品群は、ドーム兄弟やマジョレルといった同時代の作家の作品と共に鑑賞者に安らぎを与えてくれます。さらに、油彩画や版画といった近代絵画も充実しており、マティスやシャガール、日本の東山魁夷などの作品も所蔵されています。日本の陶芸では、北大路魯山人や三輪休雪の作品など、東西の美術工芸品の優品を一堂に鑑賞できる機会となっています。

館内を巡る楽しみは、展示室を離れても続きます。企画展示棟の外には、なだらかな坂を上ることでたどり着く望洋テラスが設けられていて、そこからは宮島や阿多田島などの瀬戸内海の多島美が一望できます。この絶景と、水盤に浮かぶカラフルな可動展示室のコントラストは、絶好のフォトスポットとなっています。また、エミール・ガレが作品に用いた草花を中心に、瀬戸内の気候に合わせた約250種の植物が植栽されたエミール・ガレの庭があり、四季折々の自然の美しさを堪能できます。敷地内のミュージアムカフェでは、穏やかな海を眺めながら、瀬戸内のフルーツを使ったデザートやサンドウィッチなどの軽食を楽しめます。このように、下瀬美術館は、建築、アート、自然、そして食が一体となった空間で、心豊かなひとときを過ごせる広島の新名所です。