南海高野線九度山駅から歩いて約10分の場所にあるグラタンカフェは、全国的にも珍しいグラタンの専門店です。お店は清流・丹生川（にゅうかわ）に沿った道に面していますが、道路からは見えない地下にあり、まさに隠れ家のような雰囲気を持っています。もともと倉庫だった建物をリノベーションして2012年8月にオープンし、熱々でボリューム満点のグラタンを求めて、遠方からも多くの方が訪れます。

このお店の最大の魅力は、手間暇かけて作られる熟成ホワイトソースにあります。一から手作りするこの自慢のソースは、冷蔵庫で3日間じっくり寝かせた後、さらに冷凍して熟成させるという、特別な工程を経ています。こうすることで、ソースはよりマイルドで濃厚な深みのある味わいになり、具材との絡みも格別です。店内はカントリー調で統一された落ち着く空間で、窓からは清流・丹生川の流れを眺めることができます。内壁には護岸ブロックが使われていたり、壁に描かれた木のイラストが童話の世界観を演出していたりと、遊び心にあふれた大人の秘密基地のようなたたずまいも人気を集める理由の一つです。

豊富なメニューのなかでも、特に人気なのは贅沢な海の幸をふんだんに使用した海の幸 海鮮グラタンです。プリプリとした有頭海老が2尾、さらにホタテとウニが加わった豪華な一品で、クリーミーなホワイトソースと魚介の旨みが溶け合い、口の中に豊かな味わいが広がります。このメインメニューは、ペンネグラタンとしてだけでなく、和歌山県産の「熊野米」を使ったドリアに変更することもできるので、どちらも楽しみたい方には嬉しいサービスです。

グラタンカフェでは、グラタンのほかにドリアやラザニアもメニューの中心となっており、旬の食材を取り入れるため毎月少しずつ内容が変わるのも特徴です。おすすめの一品には、香ばしいベーコンとクリーミーなソースが絡み合うベーコンのカルボナーラ風グラタンや、ピリッとした辛さが食欲をそそるホルモンのアラビアータ風ドリアなどがあります。また、牡蠣のジェノベーゼ風グラタンのように、季節限定のメニューにもファンが多く、訪れるたびに新しい発見があります。ランチセットには、九度山産の柿を使ったドレッシングが添えられた彩り豊かなサラダや、じっくり煮込んだ野菜の旨みたっぷりのスープなどが付きます。熱々のグラタンと一緒に地元の恵みを味わうことができるのも、旅の思い出を豊かにしてくれるでしょう。オーナーの「昔は高価で食べることができなかったグラタンを、どこか懐かしさのなかに、現在の食材とのコラボで本格的に復活させたい」という思いが込められた、心温まる逸品を堪能できます。