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荻窪を代表する欧風カレーの名店として、全国からカレー好きが足を運ぶ欧風カレー&シチュー専門店 トマトです。1982年に小美濃清さんが荻窪で開店しました。小美濃さんは1969年から料理の道に入り、大阪のレストランなどで経験を積んだ後、東京へ戻って資生堂の銀座店の厨房やレトルトカレーの開発にも携わりました。開店当初のトマトはカレーだけの店ではなく、さまざまな洋食を作り、ケータリングやおせち料理まで手がけていました。その後、長く店を続けていくために料理を見直し、ルーを使ったカレーとシチューへとメニューを絞り込んでいきました。現在の店を象徴する和牛ビーフジャワカレーの原点には、大阪での修業時代に料理長が月に1度作ってくれたカレーがあります。あめ色になるまで炒めた玉ねぎをコンソメでのばした、さらりとしながらコクのある味に感銘を受け、その記憶をもとに試行錯誤を重ねて自分のカレーを作り上げました。
トマトのカレーで特に驚かされるのが、ルー作りにかける手間です。現在は36種類ものスパイスを使い、その多くを細かい粉末ではなくホールの状態から使っています。開店当初は6~7種類ほどでしたが、メニューをカレーとシチューへ絞った際、ほかにはない味を求めてスパイスを研究。杉並区立中央図書館にあった漢方の本なども読み込みながら組み合わせを探したそうです。香味野菜とともに煮込み、オーブンで仕上げ、スパイスを丁寧にこしたルーは、完成してすぐには使いません。最低でも約1週間寝かせることで、多数のスパイスから生まれる角のある風味をなじませています。さらにフォン・ド・ヴォーなどを一から仕込み、ルーができるまでには140時間以上もの時間を費やします。濃厚なコクがありながら後味が重くなりすぎないのは、煮込んでいる間に浮かぶ脂をこまめに取り除くといった細かな仕事を重ねているためです。
代表的な和牛ビーフジャワカレーは、牛肉の深いうま味、香味野菜の自然な甘み、幾重にも重なるスパイスの香りを一緒に楽しめる一皿です。ただ辛さを強くするのではなく、コクや甘み、ほろ苦さまで含めたバランスを大切にしているのがトマトらしいところです。ルーに合わせるスープも1種類ではなく、ビーフコンソメ、フォンドボー、チキンスープの3種類を仕込み、カレーの具材によって使い分けています。ライスも少量ずつ炊き、できるだけ炊き立てに近い状態で出すという徹底ぶりです。ライスにはチーズと、ブランデーに浸したドライレーズンが添えられ、濃厚なカレーとの味の変化も楽しめます。
魚介を味わうならシーフードカレーもトマトならではの一品です。ズワイガニの爪やエビ、ムール貝、ホタテ、サーモンなどを使い、素材の持ち味を損なわないよう火の入れ方にも細心の注意を払っています。ムール貝は東日本大震災後の復興支援という思いも込めて石巻から仕入れるようになったもので、これを加えてからシーフードカレーの人気がさらに高まったと小美濃さんは語っています。旬の味覚をたっぷり楽しみたい人には季節の野菜カレーもあり、季節によって内容を変えながら多彩な野菜を組み合わせています。ほかにもビーフタンカレー、チキンカレー、海老カレー、ほたて貝柱カレーなどがあり、具材が変わるだけでなく、それぞれに合ったスープを選んで味を組み立てているのが特徴です。大量に作ることが難しいため、1回の営業時間で出せる数には限りがあります。長い列になった場合には開店前に受付を終えることもあるので、荻窪散策の途中で立ち寄る際は、営業状況を確認して時間に余裕を持って訪れたい一軒です。
| 住所 | 東京都杉並区荻窪5-20-7 吉田ビル 1F |
|---|---|
| 電話 | 03-3393-3262 |
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