【神奈川】横浜「浜志゛まん」

黄金町駅「浜志まん(ハマジマン)」

浜志゛まんは、横浜・伊勢佐木町で100年以上にわたり菓子作りを続ける、横浜らしい歴史をもつ洋菓子店です。1913年に初代・市村倉三が和菓子店として創業したのが始まりで、当初は和菓子を中心に手がけていました。なかでも初代が「横浜で自慢できる土産菓子を作りたい」と考えて生み出した濱志゛まん最中は、栗を入れたぜいたくな最中として評判を集め、1934年には当時の横浜貿易新報が行った土産物の読者投票でも上位に選ばれました。その後、戦後の横浜に洋菓子文化が広がっていくなかで店も大きな転機を迎えます。1957年、外国航路の客船で腕を磨いたパティシエを迎え、洋菓子の製造と販売を始めました。港町として海外の食文化を受け入れてきた横浜の歩みと、店の歴史が重なるようなエピソードです。

その洋菓子作りを象徴する存在が、神奈川県指定銘菓にも選ばれたボストンクリームパイです。1957年から作り続けるロングセラーで、名前に「パイ」と付きますが、一般的な折り込みパイとは異なり、丸く焼いたスポンジを使ったドーム形のケーキです。スポンジにカスタードクリームと生クリームを合わせ、表面にはチョコレートで繊細な模様を描きます。この幾何学模様は、チョコレートで円を描き、フォークの先を使って伸ばして仕上げるもの。華美な飾りに頼らない端正な姿にも、昭和の洋菓子文化を思わせるクラシカルな魅力があります。1人でも楽しみやすいミニボストンも作られ、2012年には横浜市内の商店街の甘味を対象にした「ガチあま!」で銅賞を受賞しました。

もうひとつ、ボストンクリームパイと並んで60年以上作り続けているのがレモンパイです。どちらも1957年に始まった洋菓子作りの流れを今へ伝える品で、流行を追ったスイーツとはひと味違う、昔ながらの洋菓子店らしさを感じさせます。ショーケースにはモンブランをはじめとしたケーキも並び、店内には喫茶スペースも設けられています。現在も伊勢佐木町5丁目で営業しており、商店街を歩く途中にケーキと飲み物でひと休みできるのもうれしいところです。喫茶室は休みになる場合があるため、店内で味わいたい場合は営業状況を確かめてから訪れると安心です。

浜志゛まんの面白さは、単に「昔から続くケーキ店」というだけではありません。和菓子店として始まり、横浜の土産になる菓子を作り、やがて港を行き来した客船のパティシエから洋菓子の技を受け継ぐという、横浜の街そのものを思わせる変化を重ねてきました。一時期には馬車道や横浜駅にも店を構えましたが、その後は伊勢佐木町の店を中心とする形へ戻り、目の届く範囲で納得できる菓子を作る道を選んでいます。港町の歴史を背景に生まれたボストンクリームパイレモンパイを味わいながら、伊勢佐木町が歩んできた時代まで感じられる、横浜散策に組み込みたい1軒です。

  • ミニボストン 600円
  • サバラン 600円
  • モカケーキ 580円
住所 神奈川県横浜市中区伊勢佐木町5-129
電話 045-252-4001


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カテゴリー: 八乙女光有岡大貴神奈川県
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