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長野県下高井郡木島平村ののどかな田園風景のなかに佇む窓月まつしまやは、築145年以上の古民家を改装した、1日2組限定の小さな宿です。かつて酒蔵として使われていた建物を活かし、2018年11月に開業しました。昔ながらの日本家屋の趣を大切にしながら、現代の快適さも取り入れた、大人のための静かな宿です。
宿を営む中村文絵さんは、若い頃から旅が好きで、沖縄の離島に何度も足を運んでいました。旅先で出会った居心地のよい宿に憧れ、いつか自分でも宿を開きたいという夢を抱くようになったそうです。その後、長年勤めた会社を離れ、夫婦で木島平村へ移住。古民家と庭を大切に守ってきた前の持ち主の思いも受け継ぎながら、宿づくりを始めました。宿の名前は、敷地内に残る「酔うて寝て さめて涼しや 窓の月」という、かつての当主が詠んだ句に由来しています。
客室は、かつての蔵を改装した月の蔵と雪の蔵の2棟。それぞれ異なる趣を楽しめます。2階建ての月の蔵は、フローリングを取り入れた洋風の客室です。明治時代から残る梁や木材を活かした空間で、2階にはベッドルームを設けています。落ち着いた色合いのバスルームには、座ったまま使えるオーバーヘッドシャワーも備わっています。
一方、平屋建ての雪の蔵は、畳敷きの和の空間が魅力です。室内には国産の木製ベッドが置かれ、赤を基調とした小さな団らんスペースでは、読書やおしゃべりを楽しめます。渡り廊下でつながる浴室にはヒノキを使い、大きな窓から庭の木々や、酒蔵時代の面影を残すレンガ造りの煙突を眺められます。
窓月まつしまや+1
食事は、昔ながらの佇まいを残す母屋でいただきます。料理を手がけるのは女将の中村さん。調理師免許のほか、野菜や果物、和漢膳に関する資格も持ち、地元の食材を使った手料理を大切にしています。夕食には季節の野菜や信州産の肉、魚を取り入れ、長野県産を中心とした日本酒やワインとともに味わえます。料理の一例として、シャインマスカットと生ハムのサラダ仕立て、そばがきのきのこ餡、信州サーモンとアスパラの春巻きなど、信州らしい食材を活かした品々が並びます。食事内容は季節によって変わり、パスタコースや定食、おつまみ膳なども選べます。
この宿ならではの特徴が、テレビや音楽プレイヤー、フリーWi-Fiを設けていないことです。窓の外には田園風景が広がり、聞こえてくるのは風に揺れる稲穂の音や鳥のさえずり、虫の声。夜には月や星を眺め、朝には澄んだ空気のなかで深呼吸をする。普段の暮らしでは見過ごしがちな自然の移ろいを、ゆっくりと感じられます。母屋のラウンジでコーヒーを飲んだり、庭を眺めたり、何もせずに過ごす時間も、この宿の楽しみ方のひとつです。
周辺には、のどかな農村の風景が広がり、季節ごとに表情を変える山々や田畑の景色を楽しめます。宿では電動アシスト付き自転車の無料貸し出しも行っており、村内をのんびり巡るのもおすすめです。アクセスは北陸新幹線の飯山駅から車で約10分。事前に相談すれば駅からの送迎にも対応しています。なお、静かな大人の宿というコンセプトから、20歳未満の宿泊は原則として遠慮してもらう方針で、敷地内は全面禁煙です。
古い建物が刻んできた時間と、木島平村の豊かな自然に包まれる窓月まつしまや。観光地を忙しく巡る旅とは少し違い、心地よい静けさのなかで、自分のペースを取り戻すような滞在を楽しめる宿です。
| 住所 | 長野県下高井郡木島平村往郷2130−2 |
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窓月まつしまや 元酒蔵の古民家を改装。空間に浸りながら、何もしない時間を味わえる大人の宿