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東京都練馬区小竹町の江古田浅間神社の境内には、江戸時代の富士山信仰を今に伝える江古田の富士塚が残されています。西武池袋線の江古田駅から徒歩約1分という便利な場所にあり、通称「江古田富士」として親しまれてきました。高さ約8メートル、直径約30メートルの富士塚は、東京都内でも規模が大きく、1979年5月21日に国の重要有形民俗文化財に指定されました。境内は古木に囲まれ、駅前のにぎわいから離れた落ち着いた雰囲気が漂っています。
富士塚とは、富士山を模して築かれた人工の小山のことです。江戸時代には、富士山を神聖な山として崇める信仰が庶民の間に広まり、「富士講」と呼ばれる信仰団体が各地で結成されました。しかし、当時の富士登山は長い旅を伴い、誰もが気軽に出かけられるものではありませんでした。そこで、遠くの富士山まで足を運ばなくても参拝できるよう、江戸の町やその周辺に数多くの富士塚が築かれたのです。富士塚に登って参拝すると、実際に富士山へ登ったのと同じ御利益が得られると信じられていました。
江古田の富士塚は、江戸時代後期の1839年(天保10年)に築かれたと考えられています。造営に携わったのは、下練馬村、中新井村、中村の富士講によって組織された「小竹丸祓講(こたけまるはらいこう)」です。ただし、1804年から1818年にかけての文化年間に築かれたとする説も残されています。1923年の関東大震災では塚が損壊しましたが、その後に復旧工事が行われ、現在まで大切に守られてきました。こうした歴史からも、富士山への信仰が地域の人々の暮らしに深く根付いていたことがうかがえます。
富士塚の大きな特徴は、実際の富士山を思わせる岩肌と登拝道です。塚の表面には富士山の溶岩が使われ、黒々とした岩が積み重なる姿は、小さな山ながら迫力を感じさせます。登拝道には、富士山の信仰に関係する石碑や石像が配され、山頂には唐破風屋根を備えた石祠が祀られています。この石祠は1839年に造られたもので、江戸時代から続く信仰の歴史を伝える貴重な存在です。
塚の途中には、小御嶽神社や太郎坊、経ヶ嶽に関係する石碑のほか、大天狗、小天狗、神猿などの石像も見られます。これらは単なる装飾ではなく、富士山の信仰や登拝の習わしを伝えるものです。また、1865年に建てられた富士講の石碑や、関東大震災後の修築を記念する石碑も残されており、富士塚が築かれてから現在に至るまでの歩みを知ることができます。
富士塚のある江古田浅間神社は、木花佐久夜姫命(このはなさくやひめのみこと)を主祭神とする神社です。神社の創建については、931年(承平元年)の夏に雪が降り、その積もった姿が富士山に似ていたことから、村人たちがこの地を神聖な場所として祀ったという伝承が残されています。境内には1952年に建立された拝殿や幣殿、1954年に造営された神楽殿などもあり、富士塚とあわせて地域の信仰の歴史に触れられます。
江古田の富士塚では、毎年7月1日に山開きが行われます。普段は塚への立ち入りが制限されていますが、1月1日から3日、7月1日、9月の第2土曜日と日曜日には、一般の参拝者も登拝できます。通常の見学は境内の外からとなるため、実際に登ってみたい場合は公開日を確認して訪れるのがおすすめです。登拝道には溶岩や石が使われているので、歩きやすい靴を選び、足元に注意しながら参拝しましょう。
江古田駅のすぐそばに残る江古田の富士塚は、かつての人々が富士山に寄せた憧れと祈りを感じられる場所です。江戸時代の庶民信仰を伝える貴重な文化財としてだけでなく、地域の人々が長い年月をかけて守り継いできた歴史にも目を向けながら訪れてみたい名所です。
| 住所 | 東京都練馬区小竹町1丁目59−2 |
|---|---|
| 電話 | 03-3957-6662 |
練馬区にある江古田浅間神社は、都内最大級の富士塚を有する歴史ある神社です。木花佐久夜姫命を祀り、各種御祈祷も承っております。地域の信仰と文化を今に伝えています。…
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