終戦間もない1946年（昭和21年）の創業以来、70年以上にわたり地元の人々や食通たちに愛され続けてきた欧風料理の老舗です。
単なる飲食店に留まらず、大阪の洋食文化の歴史そのものを体現する存在として、その暖簾を守り続けています。
初めて訪れる者も、長年の常連客も、店内に一歩足を踏み入れれば、そこにはどこか懐かしく、心温まる昭和の雰囲気が広がっています。

「重亭」の魅力は、何といってもその変わらぬ味と、丁寧な仕事ぶりが光る料理の数々にあります。
特に、その名を知らぬ者はいないとされる「ハンバーグステーキ」は、来店客のほとんどが注文するという看板メニューです。
創業当初、食糧難の時代に訪れる人々のお腹を満たしたいという初代・吉原政太郎氏の想いから、その大きさにもこだわって作られていました。
現在では、厳選されたスジ肉を加え、肉本来の旨味を最大限に引き出しながらも、ふんわりとしたやわらかな食感を実現しています。
ナイフを入れるとあふれ出すジューシーな肉汁、そして何よりも、長年継ぎ足しで作られてきたという特製デミグラスソースが、そのハンバーグを唯一無二の存在にしています。
このデミグラスソースは、ただ濃厚なだけでなく、どこか懐かしさを覚える甘みとコクが特徴で、口に入れた瞬間に心が満たされるような幸福感を味わえます。