見事な竹林に囲まれた神秘的な寺院です。神様と仏様が一つのところにいる東日本で唯一の神仏習合の場所です。
都心からわずか1時間半ほどの距離にありながら、日常の喧騒を忘れさせてくれるような静寂と、瑞々しい緑に満ちた別世界が広がっています。
この寺院の最大の魅力は、その独特の雰囲気と、訪れる者に安らぎを与える空間にあります。

八王寺は、正式名称を「龍崖山八王寺」といい、牛頭天王（ごずてんのう）を本尊とする真言宗智山派の寺院です。
牛頭天王は疫病除けの神として信仰されており、古くから地域の人々の信仰を集めてきました。
特に注目すべきは、その由緒ある歴史と、至る所に感じられる竹の存在です。
境内へと続く参道は、まさに竹のトンネル。高く伸びた竹が空を覆い、差し込む光が竹の葉を通して緑色のモザイク模様を描き出します。
竹林を抜ける風の音が、心地よいBGMとなり、訪れる者の心を穏やかに誘います。

この寺院の最大の特徴であり、見どころの一つが、日本唯一といわれる「茅の輪くぐり」ならぬ「竹の輪くぐり」です。
通常の茅の輪とは異なり、青々とした竹で作られた大きな輪をくぐることで、心身の穢れを払い、無病息災や開運招福を願います。
竹の生命力にあやかり、清々しい気持ちで新たな一歩を踏み出せるような、そんな体験ができます。

また、本堂の裏手には、願い事を書いた絵馬がたくさん奉納されています。これらの絵馬もまた竹製であり、竹寺ならではの趣を感じさせます。
絵馬に願いを託し、竹の神聖な力にあやかるのも良いでしょう。

さらに、竹寺では精進料理も提供しており、予約すれば竹の子ご飯や山菜を使った四季折々の料理を味わうことができます。
竹林の中でいただく精進料理は、まさに心身をデトックスするような特別な体験となるでしょう。
自然の恵みをいただくことで、日頃の疲れを癒し、本来の自分を取り戻すことができるはずです。

歴史は古く、寺伝によれば、今からおよそ1200年前の延暦年間（782年～806年）に、坂上田村麻呂（さかのうえのたむらまろ）が東北遠征の際に、当地で霊夢を見て牛頭天王を祀ったのが始まりとされています。
その後、弘法大師空海が東国巡錫の際に立ち寄り、牛頭天王を祀る堂宇を建てたと伝えられています。