千葉県市川市の玄関口、市川駅の南口からすぐの場所で、長年にわたり地元の人たちに愛され続けている大衆そば・うどん店です。市川駅前の再開発事業に伴って建てられた高層ビルのひとつ、「ザ・タワーズイースト」の2階にありますが、その歴史はビルが建つよりもずっと以前にさかのぼります。創業は40年ほど前で、現在の場所に移転する前は、市川駅に近い路地で25年もの間お店を構えていらっしゃいました。地域に根ざしたお店として、再開発を経た今も変わらず、多くの方のお腹を満たしてくださっています。

現在のお店は、ご夫婦で切り盛りされている温かな雰囲気で、カウンター席が中心の親しみやすい造りです。実は、駅前の路地から現在の駅ビル2階へ移転した当初は、新しい場所にお客さんが慣れず、一時期客足が遠のいてしまったというエピソードがあるそうです。しかし、そこでご主人はそばつゆの出汁を工夫し、それまでの味から出汁を強めにすることで、より一層深みのある味わいへと進化させました。この味が評判を呼び、以前にも増して多くのお客さんが戻り、今のおいしい味として親しまれています。根強いファンを持つお店の味は、常に変化と成長を続けているのですね。

鈴家の名物として、多くの人に親しまれているのがゲソ天そばです。こちらのゲソ天には、他ではなかなか見られない特別なこだわりがあります。イカのゲソを生のまま揚げるのではなく、一度出汁つゆで下茹でしてから天ぷらにするという、手間ひまかけた調理法がとられています。このひと手間によって、イカが持つ旨みが凝縮され、外はカリッ、中はふっくらとした独特の食感が生まれます。丼の上にたっぷりと盛られた細かく刻んだイカは、噛むほどに旨みが溢れ、ボリュームも満点です。ゲソ天そばのつゆはほんのりとした甘さがあり、ふくよかな旨さが口いっぱいに広がる優しい薄口の味わいが特徴で、コシのあるそばと見事に調和しています。

他にも、シンプルなかけそばも人気があり、先述の優しい甘さのつゆを純粋に楽しむことができます。また、もう一つの名物とも言えるのがアミ天そばです。アミエビをかき揚げにした天ぷらが乗っていて、イカのゲソ天とはまた違う、エビの香ばしさとサクサクとした食感が楽しめます。その日の気分やお腹の具合に合わせて、さまざまな組み合わせで楽しんでみてください。朝早くから営業されており、通勤や通学で市川駅を利用する方々にとって、手軽に本格的なおいしさを味わえる「ホッと一息つける場所」として、なくてはならない存在であり続けています。