【飯尾和樹のずん喫茶】東京・渋谷 100年続く歴史あるお店の雰囲気に感激『名曲喫茶ライオン』 2026/8/30放送

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神泉駅「名曲喫茶ライオン」

渋谷のにぎわいから少し離れた道玄坂・百軒店で、クラシック音楽をじっくり聴くための喫茶店です。名曲喫茶ライオンは1926年、昭和元年に山寺弥之助が創業しました。初代の山寺は画家を志していた人物で、専門の建築家ではなかったものの、店の外観から内装、装飾まで自ら構想したと伝わります。創業時の建物は戦災で焼失しましたが、1950年に以前の姿を受け継ぐ形で再建されました。現在の建物にもその意匠が色濃く残り、ヨーロッパの古い館を思わせる外観や薄暗い店内は、めまぐるしく景色が変わる渋谷の中でもひときわ異彩を放っています。

この店を特別な存在にしているのが、正面にそびえる巨大な音響装置です。再建時には東芝の研究所に勤めていた常連客の協力を得ながら音響設備を設計し、その後も改良を重ねてきました。吹き抜けのような空間に大きなスピーカーが組み込まれ、客席も音楽へ意識を向けやすい造りになっています。1950年代から1960年代にかけて、家庭で高価なステレオやレコードをそろえることが難しかった時代、名曲喫茶は学生や音楽好きが本格的な音でクラシックを楽しめる大切な場所でした。名曲喫茶ライオンは、そんな東京の音楽喫茶文化を今に伝える貴重な1軒です。

楽しみの中心は、やはりレコードで聴くクラシックです。店では長年、15時と19時に定時コンサートを行うスタイルを続けてきました。決められたプログラムを店自慢の音響設備で鑑賞し、それ以外の時間には所蔵する音源からリクエストに応じるという、一般的な喫茶店とはまったく違う時間が流れます。おしゃべりを楽しむカフェというより、飲み物を片手に音楽と向き合う場所と考えて訪れるのがおすすめです。店内での写真撮影にも制限があるため、訪問時には店の案内に従い、静かな雰囲気を大切にしてください。

飲み物ではコーヒーにも店の歴史が刻まれています。初代店主の従兄弟がロンドンの「ライオン」というベーカリーで修業した際に覚えた淹れ方がルーツとされ、店名にもそのつながりがあります。クラシックの響きを邪魔しないよう静かにカップを傾ける時間そのものが、この店ならではの楽しみです。

ほかにもミルクコーヒーミルクティーといった昔ながらの喫茶店らしい飲み物が親しまれています。さらにレモネードクリームソーダなどもあり、クラシックに詳しくなくても喫茶文化に興味があれば足を運びやすいでしょう。渋谷駅周辺には新しい商業施設やカフェが次々と生まれていますが、百軒店の路地へ入り名曲喫茶ライオンの扉を開けると、街の音が遠ざかり、音楽を聴くことだけに時間を使った時代の空気に触れられます。創業から100年を迎える2026年、建物、音響、喫茶、そしてクラシック鑑賞がひとつになった空間そのものが、渋谷の音楽文化を知るうえで大きな魅力になっています。

  • クリームソーダ 920円
住所 東京都渋谷区道玄坂2-19-13
電話 03-3461-6858

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