葉山御用邸のほど近くにひっそりと佇む「葉山茶寮 六花」は、歴史ある古民家をリノベーションした、まさに大人の隠れ家と呼ぶにふさわしい場所です。
神奈川県立近代美術館葉山館から徒歩1分という立地も、美術鑑賞の前後で立ち寄るのに最適。
凛とした趣のある門をくぐり、引き戸を開けて一歩足を踏み入れると、そこには日常の喧騒を忘れさせるような、明媚な空間が広がります。

「葉山茶寮 六花」という店名には、「味覚」「聴覚」「嗅覚」「視覚」「触覚」の五感に加え、第六感までも満たされるような「六つの愉しみ（六つの花）」を提供したいという想いが込められています。
その言葉の通り、店内には心地よい静けさが漂い、趣のある設えや、細部にまで心を込めたおもてなしが、訪れる人々を優しく包み込みます。

建物の歴史は深く、昭和9年（1934年）に建設された旧・塚原伊勢松別邸をリノベーションしたものです。
塚原伊勢松氏は、昭和天皇に仕えた侍医頭（じいのかみ）として知られる人物であり、この別邸は当時宮内庁が建設したと伝えられる、由緒ある貴重な建築物です。
しっかりとした石垣の土台に囲まれた堂々たる門構え、そして庭に生い茂る松をはじめとした木々と四季折々の花々が、歴史の重みと風情を感じさせます。
店内には、当時の面影を残すガラス戸や、歪みのあるソーダガラスが使用されており、そこから差し込む柔らかな光が、古民家ならではの美しい陰影を創り出しています。
特に人気なのは、青々とした庭の緑を眺めながらゆったりと過ごせる広縁の席。
古き良き日本の家屋が持つ心地よい空気を肌で感じながら、至福のひとときを過ごすことができます。

料理は、季節の色とりどりの食材を使用した、心と体に優しい繊細な和食が中心です。
平日のお昼には、丁寧に作られた本日の八寸盛りをメインとした「六花御膳昼はん」が楽しめます。
蒸篭蒸し二段は、一段が三浦や葉山で採れた新鮮な野菜、もう一段はお肉、お魚、または餃子から選ぶことができ、様々な味が愉しめる趣向が凝らされています。